夫に「殺す」と言われて1年後、息子を守るため自己破産して離婚【別れた夫にわが子を会わせる?】
池脇さんは次第に離婚を考え始めるようになる。命に関わるような出来事が立て続けに起こり、「この人、違うかも」という思いが、「この人とは、もう無理」という確信に変わっていったのだ。
――警察や救急のお世話になったりしなかったんですか?
「夜中に息子が自分で勝手に冷蔵庫を開け、約100錠もの薬を飲んでしもうた。息子用のアレルギーやアトピーの薬。夜中、うちがウトウトしてたら息子に起こされて。そしたら息子、『お母さんゲポしてん、〇くんゲポしてん』って言うんや。うちはそれで慌てて、『大変や! 病院連れていかな』って思って、必死にBをたたき起こしたんです。でもBは眠そうな顔で『水飲ましとけ』って、ひと言言うだけ。『この子がどないかなったら、どないすんの!?』ってうちが抗議したら、『それぐらいで死なへんやろ。ワシ仕事あるんや。寝るで』とか言うんやで。うち、さすがにカチンときてな、『そしたらうちが連れて行くわ』って言うて、うちが1人で救急に連れて行きました」
――別れようと決意したのは?
「電化製品を投げつけられたときやね」
――どういうことですか?
「うち、心の病の影響もあって、全然寝られへんねん。3階の寝室から2階のリビングに降りてきて、尾崎豊のライブとか韓流ドラマのDVDを見ながら寝るようになったんや。そのことにBが不満を持ってたみたいで、あるとき階段下りてきて暴れたんやわ。不満が爆発したんやろうな」
――暴れたって、どんなふうにですか?
「ちょうど、韓流ドラマのDVDを見ながらウトウトしてるときやった。Bが2階のリビングに下りてきたんや。『こんなビデオずっと見てるから、寝られへんのとちゃうんか!?』って怒鳴りながら、テレビとDVDプレイヤーのコード引っこ抜いて、バンバンどついたり、蹴ったりした後、部屋の端っこのカウンターキッチンの陰にいた息子に向かって、テレビやらDVDプレイヤーやらを投げつけたんです。隠れてたから、息子には何もけがはなかったけど、これにはさすがにうちもぶち切れて言ったった。『物に当たるんやったら、うち殴れ!』って。するとBは『おまえらに手出すときは、殺すときや!』って言いよったんやで」
機械が長男に当たっていたら、大けがをしていたかもしれない。しかも、“殺害予告”までされたのだ。この一件で、池脇さんの気持ちは完全に離れてしまった。とはいえ、すぐに離婚することはできなかった。
「出て行くお金はないし、あてもない。実家は実家で父親が怖い人やから、帰ったらうちがしんどい。それで実家にも戻れず、家庭内別居してたんやわ」