コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき
『極道の妻たち』の岩下志麻みたいな姐さんはいない――極道いろいろ、極妻もいろいろ
2017/06/11 21:00
私はなるべく彼らの「お母さん」的な役割を果たすようにしてきました。「極妻」といっても、まさに十人十色なのですが、私は昔ながらのスタンダードなタイプでしたね。若い衆に手伝わせて、みんなの分の食事を作り、洗濯や掃除もしていました。あとは逮捕された時の弁護士との連絡、本や服の差し入れ、手紙の代筆などですね。
ちなみに映画『極道の妻たち』の岩下志麻さん演じる環さんみたいな極妻はいません(笑)。実際は完全な男の世界ですから、オットの子分に「あんた、指詰めなアカンよ」なんて言えるわけはないのです。まあファッションや話し方に、映画の影響を受けているのがミエミエの姐さんはいますけどね。
伴侶にヤクザを選ぶわりには、まっとうな職業の女性も多く、私の知り合いの姐さんたちにも、看護師や保険の外交員、スーパーの店員や事務員などの出身の方がいます。変わったところでは鍼灸師やファッションモデル、クラブのピアニストなんかもいるんですよ。あとは「アタシと結婚したいならヤクザをやめて」と言って足を洗わせた焼き鳥屋のおかみさんもいます。ご主人はゼロから焼き鳥の作り方を練習したそうで、けっこうおいしいです。
極道もいろいろ、極妻もいろいろ、というわけです。私の場合はオットが亡くなって、この世界から離れることになりましたが、これを機に体験した面白エピソードを伝えていきたいなあ、なんて思っています。
最終更新:2017/08/14 21:31