「コンビニサラダ」「粉末の青汁」で、野菜の栄養素は本当に摂れるのか? 管理栄養士が解説
――野菜を摂る方法として、“野菜ジュース”を選択する人も多いようです。
平野 市販の野菜ジュースは、食物繊維が濾されて取り除かれて、ほとんど含まれなかったり、ビタミンCなども加熱処理により破壊されているため、“野菜の栄養を摂りたい”という期待は裏切られる結果となります。ジュースバーで買うことのできるフレッシュジュースでさえも、時間がたち抗酸化力が期待できないものをボトルに入れている場合がありますからね。
ただ、市販の野菜ジュースでも、自己満足を得られる点には意味があると思います。「野菜ジュースを飲むことで、カラダにいいことをしている」「ジュースバーを選ぶ私は賢い」など、いわゆる“脳へのすりこみ効果”によってストレスが軽減するのは、野菜を摂ることで抗酸化成分を期待する以上に、体には有効なのかもしれません。“脳が安心すること”を必要としている方も多いんですよ。
――自宅のミキサーで作った野菜ジュースではどうでしょうか。
平野 ミキサーを使用した自家製野菜ジュースは、細胞を細かく破壊することで、野菜の成分が出るので、消化吸収率が高まります。栄養成分の補給には有効ですし、また、簡単に量も取れるのでおすすめです。一方、圧搾するジューサーの場合、ビタミンの破壊は少ないのですが、食物繊維が摂れないなど、それぞれの機種による特徴があります。
難しく考えすぎず、おいしい野菜ジュースを飲もうという意識でよいと思いますが、自家製野菜ジュースは、できるだけ新鮮な野菜を使うべき。野菜や果物は、日がたつにつれ、栄養成分も“野菜が生きるため”に使われるようになるので、買い貯めしていたものをジュースに……というのは、避けた方がいいかもしれません。
――なかなか自家製ジュースもハードルが高いですね(笑)。粉末状の青汁などもよく売られていますが、野菜の栄養素を摂ることは可能でしょうか。
平野 意外に思われるかもしれませんが、今の粉末青汁などの加工技術は進化し、私たちの食生活をより簡便に、そして合理的にしていると思います。フリーズドライ、スプレードライ、低温乾燥などの製品は、熱による栄養成分の減少が少なく、良い食材が摂りたい時にいつでも手軽に摂れるのです。例えば、東京の島々や鹿児島などが産地の明日葉という野菜。食物繊維やビタミン、ミネラルなど現代人に欠かせない栄養素を豊富に含む優秀な野菜なんですが、産地や流通の都合により、一年中出回るものではなく、生の状態で手に入れることも難しいんです。手に入れたとしても、値段が高かったり、また生の状態で置いておくと老化するため、有用な成分が少なくなります。そんなときに、粉末状の製品は便利ですよね。
食事で摂る場合も粉末状のものは使い勝手がいい。どの食材でも、“細かく刻んで調理しないと成分が体内で吸収されにくい”という面があるのですが、まるごとの素材が粉末状になっているというのは、つまり“面倒な切る手間が不要”なんです。