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代表的駄作を紹介!

マドンナ、マライア、ブリトニー以外にもまだいる「映画に出なければよかった大物歌手」

2017/05/05 19:00

■ボブ・ディラン『ハーツ・オブ・ファイヤー』(1987)

 今年3月、自身の公式ウェブサイトで、往年の名作『俺たちに明日えはない』のクライド役を断った理由を明かしたボブ。その理由とは、「当時のマネジャーとは犬猿の仲でね。口もきいてなかったんだ。だからオファーがきてたなんて知らなかったんだ」。それを聞いた世間は「そんな理由でハリウッド大スターになるチャンスを逃したのか」とあぜんとした。クライド役を演じたウォーレン・ベイティは、この作品が出世作となり、大御所俳優となったからだ。

 一方で「ボブが出演してたらB級で終わっていたはず」という声も上がっている。というのも、のちにボブが主演した映画『ハーツ・オブ・ファイヤー』は、「ボブのせいで駄作になった」と叩かれているからだ。同作は、ボブ演じる引退した大物ミュージシャンに発掘された田舎の少女がロック歌手としてデビューし一気にスターダムを駆け上がるものの、イケメンのロックスターとのスキャンダルに見舞われてしまい、「地元がいい」と田舎に帰ってしまうストーリー。1時間半の上映時間なのに、あまりにも目まぐるしい展開となり、見る者はまるでローラーコースターに乗っているような感覚に陥ってしまう。が、所々でハッとさせられる。ボブの「ドヤっているキメ顔」や「投げやりすぎる演技」が目に入ってくるからだ。

 監督は映画『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』を手掛けたリチャード・マーカンド、脚本は『フラッシュダンス』『氷の微笑』で知られるジョー・エスターハスと才能あるクリエーターに恵まれたのだが、ボブの「絶望的なまでの演技力のなさ」のせいか、先行公開されたイギリスでは大コケ。「いたたまれなくなる」「頭が痛くなる」と酷評され、たった2週間で打ち切られてしまった。散々な評判ゆえ、アメリカの映画館で公開されることなく、DVD販売のみとなった。そのDVDも現在では販売されていない。完全にボブの黒歴史と化してしまったのだ。

 73年公開の『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』の音楽を担当、78年公開の『レナルド&クララ』の監督を務め、両方に出演。こちらも「投げやりすぎる演技」でB級映画にカテゴライズされてしまい、「ボブは役者としては最悪」と認定されてしまった。

 世間がボブの大根演技をすっかり忘れ去った2003年、ボブは再び映画出演。『ボブ・ディランの頭のなか』という音楽コメディで、ペネロペ・クルス、ジェフ・ブリッジス、ジョン・グッドマンら一流の役者たちがこぞって出演。ボブの大根演技がより際立ってしまい、「もう二度と演技は見たくない」と叩かれるハメになった。

■ミック・ジャガー『フリージャック』(1992)

 ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のボーカルとして、60年代から第一線を走り続けているミック。彼は演技にも並々ならぬ興味を抱いており、テレビ映画やドラマを含め、20近くもの作品に出演している。映画『パフォーマンス/青春の罠』で演じたエキセントリックなロックスター役など、ミック本人と重なる部分が多いミュージシャンに扮する作品は「ハマり役」と好評。しかし、本人と似ても似つかない役を与えられると、「演技ができない」ことがバレてしまうのだ。

 実在した盗賊ネッド・ケリーの生涯を描いた『太陽の果てに青春を』は、つけヒゲと下手すぎるミックの演技だけが印象に残る作品だと手厳しい評価を受けた。しかし、これ以上に辛辣にコキ下ろされた映画がある。92年に公開されたSF映画『フリージャック』だ。

 『フリージャック』は、F1レース中の大事故で09年にタイムスリップしてしまったエミリオ・エステベス演じる主人公が、「09年では若くて健康な体に他人の魂を移入することができる」こと、「自分はそのためにハンティングされた」ことを知り、人生を取り戻すために奮闘するという近未来が舞台の作品。ミックが演じるのは“冷酷なハンター役”なのだが、ガリガリ体形のため悪役の迫力に欠ける。そして、台詞を口にするたび演技力のなさをさらけ出してしまい、ミックが登場するたびに頭が痛くなってくる。

 ファンからも酷評だった『フリージャック』だが、ミックは懲りることなく映画『ベント/堕ちた饗宴』『The Man From Elysian Fields』に出演。しかし、この2作ともヒットせず、ミックはようやく俳優業からは退くことにしたようだ。今でも映画やテレビドラマに顔を出しているが、「ミック・ジャガー」としてカメオ出演するのみにとどまっている。

 しかし映画・ドラマへの情熱を燃やし続けており、95年に立ち上げた映画製作会社「Jagged Films」で、監督、脚本家、プロデューサーとして活躍。昨年は巨匠マーティン・スコセッシとタッグを組んで製作総指揮を務めたドラマシリーズ『VINYL/ヴァイナル』が話題に。シーズン1で打ち切りになったが、今後も意欲的に作品を生み出していくものと見られている。

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