「GINGER」突然の“モテ特集”が迷走! 「職場で女を捨てるな」など紋切り型コメント連発
前号に引き続きピンク色の表紙の「GINGER」(幻冬舎)。なんと、今まで誌面ではほとんどお目にかかったことのない言葉「モテ」が大々的に記されているんです! さらにはハートマークまで踊っている表紙を見ると、超現実主義だった「GINGER」はどこへ? と、うろたえてしまいました。一体どんな路線変更を図っているのか、早速中身をチェックしていきましょう~。
<トピックス>
・COVER WOMAN 桐谷美玲 “普通”というドラマを生きる27歳のヒロイン
・今年の春服には、もれなく“モテ”がついてきます
・気になる! “春の絶対買いアイテム”調査してきました!
■自意識の薄い美人・桐谷美玲が語る“普通”
カバーモデル・桐谷美玲の巻頭インタビュー、テーマは“普通”です。確かに語られるエピソードは「芸能人の友人は少なく、今はOLをしている学生時代からの友人が多い」「単純にファッションやメイクなど、女の子が好きな物が好きだから、雑誌モデルの仕事は楽しいし好き」「友達の結婚式で、みんなでブライズメイドをやった」など、まさしく“普通”なものばかり。どうやら彼女は、“自分が他人からどう思われているのか”“自分をこんなふうに見てほしい”といった、余計な自意識が薄いようで、誰からも愛される素朴なヒロインを、地のままで体現しているように見えました。
特に印象的だったのは結婚観で、「堅実なサラリーマンと結婚して、専業主婦になるのも憧れ」とのこと。子どもの頃も今も“普通の温かい家庭”を築くことが夢だそうで、「正直、キャリアにはあまり執着心がないんです。これって、私にとっては“普通”のことなんですよ。少なくとも、私の周囲の友達もそう。女子大出身だからなのかわからないけれど、みんな仕事が好きで責任感が強くて、とてもデキる子たち。だけど、あんまりキャリア志向じゃないんですよね。それぞれ、自分にとって普通に大切なものがあるからだと思います」と言い切っています。
このある意味世間知らずで、夢見がちな発言に対しては、インタビュアーも「普通の女の子以上に普通の夢」と評すると同時に、「今どき、主婦させてくれるほど、余裕のあるサラリーマンはいないと思う!」と突っ込んでいます。モデルや女優、さらにはキャスターと幅広く活躍している桐谷が、こういう発言をするのは「仕事にやる気がない」「責任感がない」などとみなされてしまう可能性もありますが、「いちばん視聴者の方に近い存在として、ひとりの20代女性として、素直に勉強して、等身大のコメントができたら」と桐谷自身は語っており、こういった考えをする現代のアラサー女性は少なくないのかもしれません。そういえば、堀北真希も芸能界引退してたしなぁ……。
桐谷が語った“普通”という感覚と、前号で水原希子が意識高く語った“大衆に媚びるのではなく自分らしい個性を大切にする” 生き方は、一見「GINGER」が読者に、真逆の価値観を提示しているようにも見えます。しかしその実、周囲の意見や同調圧力なんか気にせず自分が素直に心地良いと感じる生き方をしたい、という主張は共通しているのではないかと感じました。
しかし忘れてはいけないのは、桐谷は「世界で最も美しい顔100人」常連であるほどの美人だということ……。同号で、桐谷がモデルを務めるファッションページには「ファッションの力って、やっぱりすごい。街を歩いてて、思わず目を引くのはものすごい美人なんかじゃなくて、自分に似合う服を着ていたりトレンドを先取りしたファッションの人。だからこそ、自分らしさを大事にしたいけれど――」という、雰囲気しかないコピーが載せられていましたが、桐谷が“普通”のままで愛されヒロインになれたのは、決して自分らしさを大事にした結果やファッションの力だけではないでしょう。今まさに桐谷が主演中のドラマ『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)ではないですが、「美人は生きやすい」という誰もが知っている現実を突きつけられた気分になりました。