バカリズムの「自己顕示欲を斬る芸」に抱く、「なぜ標的は女性だけなのか?」という疑問
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「芸能人が素直になるための提案です」バカリズム
『ヨロシクご検討ください』(日本テレビ系、4月10日)
よくある「こんなオンナが嫌いだ」ランキングで、古今東西上位に入るのは、「オトコの前で態度を変えるオンナ」である。他人を出し抜いて自分をよく見せようとする態度に、“裏切り”や“あざとさ”が感じられるからだろう。「オトコの前で態度が変わるオンナ」に若き女子がイラつくポイントはもう1つあって、「そのズルさにオトコが気づかない」点ではないだろうか。なので、「オトコの前で態度を変えるオンナ」に気付くオトコは、「見る目のあるオトコ」と思われがちである。
人気芸人は、「遊んでいる」というイメージがあるが、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「女の子苦手芸人」に出演したバカリズムは、「年齢を聞かれるのはイヤなくせに、誕生日は祝ってほしがるオンナ」のややこしさを指摘し、「芸能界ってもっと派手な場所かと思った」とつぶやいた(つまり、リア充ではない)。「見る目のあるオトコ」を探す女子にとって、バカリズムは、好ましい存在かもしれない。が、バカリズムの話をよく聞いてみると、実はその逆なのではないだろうかと思えてくる。
最近のバカリズムは、女性芸能人とSNSをネタにすることが多い。『アメトーーク!』の「立ちトーク」の回では、「新成人を祝うふりをしながら、自分がハタチの頃の写真をアップする女性芸能人」に対して、「何で?」「おめでとうなんて絶対思ってない」と指摘した。季節の行事ネタにからめて、“隙あらば自分をアピールする神経”が、バカリズムのカンに触ったと思われる。
「自分が思う自分」を演出しやすいSNSでは、こうした事例が多く、「斬りやすい」と思ったようで、バカリズムは4月10日放送の『ヨロシクご検討ください』(日本テレビ系)においても、「芸能人が素直になるための提案です」として、女性芸能人のSNSの特徴について述べていた。バカリズムの分析によると、芸能人とは“自己顕示欲の塊”。しかし、それを悟られるのが怖いので、わざと自虐的なキャプションをつけて、自己顕示欲を隠ぺいしようとするのだそうだ。