100人の女が全裸でシャワーの取り合い!? 女子刑務所の入浴は「仁義なき戦い」
覚せい剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
■女性刑務官は離職率が高い
前回、ムショのお医者さんが足りてないというお話をちらっと書きましたが、ムショで足りないのはお医者さんだけではありません。刑務官も足りないんですね。バッチリ足りてる(ちゅうか多すぎる)のは収容者さんだけです。笑いごとじゃありませんけど(笑)。
特に、女性刑務官は採用から3年未満で4割が辞めてしまい、実に男性刑務官の3倍近い離職率だそうです。一方で女性の受刑者は増加気味で、そのほとんどが覚せい剤事犯。って私もでしたが。
この不況で、公務員なんてめっちゃ安定してるのに、すごい辞めっぷりですよね。私やったら絶対に辞めへんなぁ。もし私が刑務官なら、ひたすら働きますよ。いやホンマに。「つかんだら離すな、退職金!」とか言いながら、気合入れて仕事ビシビシしてるでしょうね。
■懲役の方が刑務官に向いてる?
刑務官だけでなく、警察官も裁判官も同じだと思いますが、学校を出てすぐに現場に出たって、アカンでしょう。特に警察官なんか、こないだまで学生だった人がソッコーで拳銃を持てるんですよ。「勘違いすんなや」って言うほうがムリですよね。
若い刑務官を見ては、就任前にもっともっといろんなこと体験して痛い目にあって、自分の心を鍛えな、この仕事では生きていかれへんなぁって感じてました。優越感とか制服とか、少しの正義感だけで刑務官を目指すなら、成り立てへん仕事やと思います。せやから、今から刑務官を目指してる人は、ホームレスの炊き出しとか「濃いめ」のボランティアでもやって、心を鍛えたほうがいいですよ。まあそれでもキビしい世界でしょうね。
でも、まずは、どの受刑者も罪名を取ったら「普通の血の通った人間」というのはわかってほしいですね。1人の人間として扱えるようなら、きっと刑務官て仕事に誇りを持てると思います。「1人の人間なんて、アホ言うな。犯罪者なんか、まともに扱えるかいな」と思う方はまずムリですよ。
偉そう言うてごめんなさい。犯罪は多くしてきたんですけど、その分たくさんの「先生」(受刑者は刑務官をこう呼びます)を見てきているからこその感想なので、お許しください。刑務官のお仕事は、むしろ懲役経験者の方が向いてると思いますね。懲役(受刑者)の手の内もわかってますしね。
私らみたいな痛い目にあってきた海千山千の人間には、こんな安定した公務員さんにはお国様がならしてくれへんのですけど、大学出たばかりのお嬢さんにはやっぱり難しいですよ。
もちろん刑務官といってもいろんな方がいて、いい方もいらっしゃいました。私も服役中に心から惚れて、「この先生のためならがんばろう」って思った刑務官もいてはりましたし。どの業界も、結局は「人格」ですよね。人情味のある方が一番です。