芸能
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」4月11日号

桃井かおりのカッコイイ女芸と松岡修造のタレント根性でおなかいっぱいになる、「婦人公論」の加齢特集

2017/04/05 21:00
「婦人公論」4月11日号(中央公論新社)

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は、「かっこよく年を重ねたい」です。久しぶりにやってきた、全編ギャグ&コントのようなインタビューや対談が並ぶ、超お気楽特集。まずは表紙の真矢ミキ。元宝塚トップスターというより、「“あきらめないで”の人」の方が伝わりやすい真矢ですが、インタビュー「人には無限の色がある。ひとつじゃないから面白い」でも、そのサバっとしてポジっとしたパブリックイメージをいかんなく発揮しております。

 「目指したいのは、質のいいニットみたいな人。着ている自分も楽で気持ちいいけれど、まわりの人もほっとするといった感じでしょうか」。なぜ女優という生き物は、なにかをニットとかカシミアとかワインとかにたとえたがるの……。萬田久子の罪は重い。

<トピックス>

◎特集 かっこよく年を重ねたい

◎奈良橋陽子×桃井かおり「経験が支えてくれるから勇気出していい年頃なのよ」

◎松岡修造「『かっこよさ』とは一所懸命から生まれる輝きのこと」

■本当に相槌で「オーマイゴッド」って言ってます

 そんな特集ですので、今号は介護も年金もニートな子どももイヤなご近所も捨てたい夫のことも全て忘れて、サバっとポジっと「年を取るって、素晴らしくない?」と鏡の中の自分に微笑みかけるような気持ちで読みましょう。

 必読はこちら、キャスティングディレクター・奈良橋陽子×女優・桃井かおり「経験が支えてくれるから勇気出していい年頃なのよ」。リードには「54歳でアメリカへ移住、仕事の拠点も移した桃井かおりさん。そのきっかけとなる仕事で、彼女を後押ししたのが奈良橋陽子さんだった。以来、仕事を超えた付き合いだという二人の、“かっこよさ”の基準とは何でしょうか」とあります。60を過ぎても現役バリバリ、海外を拠点に活動する“THEかっこいい女”がお互いを褒めながら、時に軽くディスって仲の良さを匂わせながら、女の生き方を語ります。

 この対談、ものすごくざっくり言うと「LAって最高」「映画も生き方もナチュラルが最高」「この年になってそれ実現している私たちって最高」。2月28日号で、THEかっこいい女界の西の正横綱・夏木マリが「自分の肩書きは『プレイヤー』だと考えています。遊ぶ人です! これからも本気で遊びたいと思います」と高らかに宣言していて無言になりましたが、今号はTHEかっこいいが互いを煽り合っているので、アーティスト的“うっとり”が天井知らず。

 桃井「結婚もして、この辺で静かに遊んで老後ってやつを迎えればいいと思ったりもする。やってみた~いって。でも、まだまだ仕事もやれそう(笑)。映画を撮ったり、文章を書いたり、絵を描いたりしている最中に、『創造の神』が降りて来なくなったらおしまいじゃない?」

 奈良橋「この年になってもバンバン変化球が飛んでくるというか、たいへんな目に遭うのはいいことですよ。年を重ねると、安全や居心地の良さを好みたくなるけど、変化球を好んだほうがいいと思う」

 大半の読者が受け入れるしかない「老後ってやつ」を、「やってみた~い」と言いながら、“だけど創造の神降りてきちゃうから無理~”とアーティストの宿命を説く。加齢とは衰えばかりではないという企画趣旨でしょうが、加齢で自我はますます濃度を上げていくということはよくわかりました。

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