コラム
【連載】知られざる女子刑務所ライフ8

塀の中でもクスリの乱用はアリ? 秘められた刑務所医療事情

2017/03/25 17:00

■飲んだフリをしてため込んだ処方薬でアレを

中野瑠美さん

 男性刑務所では「風邪でも腹痛でもアスピリンしか処方されない」といううわさがありますが、女子刑務所はもう少しマシですし、最近は男性も心臓や肝臓疾患など持病の薬も処方されるようになってきたと聞いています。とはいえ不十分でしょうけどね。

 風邪を引くとお風呂に入れないのもツラかったですね。風邪薬の中には、わざと発熱させて汗をかかせる成分が入ってるものもありますから、さらに熱が上がってしまうこともあります。

 熱が出ると、治るまでの間は入浴も禁止になります。当たり前なんでしょうけど、これには困りました。特に夏場は同じ部屋の人にも迷惑かけることになりますしね。なので、私はちょっと治ってくると薬を止めてもらって、お風呂の方を選んでました。だって部屋で「ヨゴレ」とか言われるのんイヤですもん。

 そして、もう一つ薬の思い出は、「薬のため飲み」です。精神安定剤や便秘薬をためておいてイッキに飲むんです。ワル知恵の働くコたちが安定剤をため込んでブッ飛んだり、ダイエットのために便秘薬を大量に飲んでいました。

 塀の中で薬を飲む時は、薬をため込まないように1回分ずつ渡され、刑務官の前で飲まなくてはなりません。まず口を開けて薬を入れ、舌にのせて確認してもらってから、薬を口の中に入れます。飲んでから口の中をまた見せて、飲んだ後は「らりるれろ」って担当の前で言って、口の中に残してないかを再び確認されます。

 とはいえ私はプロだったので、飲み込まずにうまいことして皆に薬を回していました(笑)。そういうこともやろうと思えばできるんです。私は、塀の中でも「薬屋さん」でした。まあ冗談ですけどね。

 塀の中は運動があまりできないし、食事はご飯が多いので、みんな痩せたがっていました。塀の中でも女は女なんですね。私は薬のため飲みなんて、やってませんけどね(笑)。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

最終更新:2017/04/20 20:21
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