渡辺直美、“肥満”を武器にする芸風に「女の生きづらさ」を感じてしまうワケ
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「逆にすごくないですか?」渡辺直美
『ダウンダウンなう』(フジテレビ系、3月17日)
テレビにおいて、太っていることは、軽んじられることと同義である。今や芸能界の大御所と化したマツコ・デラックスも、テレビに出だした頃、お笑い芸人と共演した際は、まず体型をいじられていた。
しかし、マツコが軽んじられることを良しとしているかというと、そうでもなく、『5時に夢中!』(TOKYO MX)で、中村うさぎ相手に「ファットビューティーって考え方だってあるじゃない」と意見したこともある。うさぎとマツコが2 人でコメンテーターを務めていたことから考えると、2008年から09年頃の話である。
17年現在、渡辺直美やブルゾンちえみなど、細身ではないオンナ芸人がブレークしている。さすが、マツコは先見の明がある、時代は“ファットビューティー”に向かっていると思う人もいるだろう。けれど、私にはむしろ逆に思えてならないのだ。
ビヨンセのモノマネでブレークした渡辺が注目を集めたのは、ファッション性の高さだった。細身の人向けの服ばかり売られている日本では、太っていると着られる服の選択肢が少なくなるが、渡辺はファションをあきらめない。オトコ受けするとは言い難い独特な色彩感覚のメイクも合わさって、彼女独自の世界を作り上げている。サイズ展開が豊富なファッションブランド「PUNYUS」をプロデュースすることになったのも、ファッションに対する姿勢とセンスが認められたからだろう。
余談だが、渡辺をおしゃれに見せている要因の1つは、骨格にあると私は思っている。3月17日放送の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)によると、現在の渡辺の体重は103キロだそうで、身長が150センチ台であることを考えると、完全に肥満ゾーンだ。しかし、バランスで考えると、胴体の大きさに比べて、渡辺の手脚は細い。太っていても二重アゴになることもない。これは鼻筋とあごの骨格がしっかりしているからだろう(アジア系は一般にあごが小さいので、太ると二重アゴになりやすい。鼻筋が通っていると、小顔効果がある。ぽっちゃり売りをしている日本テレビの水卜アナやグラビアアイドルの磯山さやかも、しっかりした鼻筋とアゴを持っている)。渡辺はフォトジェニックな肥満なのである。
渡辺といえば、インスタグラムのフォロワー数が日本一多いこともよく知られている。アメリカの有力紙「ワシントンポスト」が、渡辺に「日本の女性は超細身なのに、ぽっちゃりの渡辺がなぜ自信満々なのか」をテーマに取材を申し込んだというが、「ぽっちゃりなのに、日本一」であることが、彼らの好奇心を刺激した可能性は大いにあるだろう。