カルチャー
『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』著者・西牟田靖さんインタビュー

親が離婚した子の「幸せ」とは? わが子に会えない父親の本音と「親子断絶防止法」の意味

2017/03/23 15:00

■面会を求める父親たちは、女性の権利を尊重している方が多い

わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)

――調停や裁判は双方の意見を第三者が聞いて、決着させるシステムですよね。

西牟田 そうとも限りません。2016年の離婚件数は21万7,000組。9割は協議離婚といわれていますが、平成27年度の面会交流調停の成立件数だけでも7,654件です。これだけの数をさばくためには、面会は月1回2時間、親権は母親が「相場」であるとパターンが決められていて、それで押し切られてしまうことが多々ある。たとえ子育ての主導が父親だとしても、個々の状況が反映されないことが多いのが現状です。子どもを大切に思う父親ほど、面会が月に2時間だけなんて愕然とします。

――それでも、結婚期間中に浮気をしたり家庭を顧みたりせずに、いざ離婚となって初めて子どもが大事というのは、勝手なんじゃないかと思いますが。それに「妻は料理や家事が下手」「女性は三歩下がるべき」という家父長的な表現も本の中にありました。

西牟田 この18人の旦那さんは家事や育児に熱心で、必ずしも非がある方ばかりではありません。それに、今回はあえてばか正直に表現することで、夫側が考えていることを可視化させる意図もありました。

 実感として、面会を求める父親たちは、女性の権利を尊重している方が多いという印象です。男女平等意識が浸透して、男性の育児参加も増えたからこそ、面会交流を求める人が増加しているのではないでしょうか。女性も子育てより働きたいと考える人もいるし、男性が中心で育児をするという考え方も認められていくでしょう。生き方が多様化していく中で、自動的に母親に親権が付与されている現状は、流れにそぐわないのではないでしょうか。

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