加藤紗里が、なかなかテレビから消えないワケ――“SNS有名人”という新らしい在り方
例えば加藤は、「週刊新潮」(新潮社)に、AV女優・坂口杏里から借金を申し込まれたものの、これを拒否したと報じられた。坂口はTwitterで「お金かりてません!」と否定したが、加藤は「紗里が売名のためにお金貸してって言われたってわざわざ嘘ついてるって感じで・・・。どっちでもいーけど、色々悩んでいたのがバカみたい笑」と反論した。何か事情があることを思わせる発言で、『バイキング』(フジテレビ系)はそのあたりを聞こうと、加藤にオファーをかけるが、テレビに出た彼女の口は重い。SNSやブログでの加藤はネットニュースが食いつきそうな単語を散りばめているのに、テレビでの加藤は別人のようなのだ。
しかし、知名度を上げた加藤にオファーをかける番組は多い。元阪神タイガースで野球解説者の下柳剛氏と『虎バン』(朝日放送)で共演した加藤は、「ピッチャーって知っているか?」と尋ねられ、「素直に『存じ上げません』とお答えした」ことをTwitterで明かした。自称“カープ女子”がピッチャーも知らないとは、炎上を狙っての燃料投下にも思えるが、もしかしたら真実かもしれないとも感じるのだ。
加藤を見ていると、他人への興味のなさを感じる。
バラエティ番組では、上下関係と相手の個性を読みつつ、オリジナルなコメントをすることが求められるが、加藤は他人に興味がないので、求められていることがわからず、凡庸なコメントしかできないのではないか。その点、SNSは自分ひとりの世界なので、好きな時に好きなことを書ける。誰にも邪魔されることはなく、強気なことも書ける。
芸能人といえば、テレビに出て顔を売ることが仕事と思われてきた。しかし、これからは自分にしか興味がなく、SNSで自分をアピールし、時折テレビに出て実績は稼ぐが、存在感があるというわけではない(しかし、SNS有名人ゆえに仕事そのものは減らない)という加藤タイプの芸能人が、増えるような気がしてならない。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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