いまバブル文化がウケる理由は? ディスコは「盆踊り」、ペンシルスカートは「ボディコン」
■若い世代は、バブルを冷静に半笑いで楽しんでいる
ディスコの復活を歓迎しているのは大人世代だが、それはある意味、懐古ともいえる。また、たとえば最近は、太い眉毛がメイクの主流とはいえ、バブル期のような極太の眉をしている若い女性はいない。ライターでバブル時代研究家のDJGB氏は、若い世代にとってのバブルはコミュニケーションのキーワードなのだと話す。
「現在30歳以下の方々は、生まれて以降『景気がいい時代』がほとんどなかったわけで、バブル時代の現象が新鮮に映るのは当然です。加えて、当時を知る世代には“思い出補正”もあり、語られるのは楽しかったことばかり。若い世代にとっては、『バブルの頃ってホントにこうだったんですか?』という問いが、上の世代とコミュニケーションをとるきっかけとしても、便利なんだと思います」
また、「こうした回帰ブームは、今回が初めてではない」とDJGB氏は語る。
「まさにバブル絶頂の90年には、その名も『おやじGALS』というグループが『平成スーダラ節』という曲を発売しています。原曲の『スーダラ節』の発売が61年ですから、今回のバブルブームと同じく、約30年周期です。『世代をまたいで話題にできる』のがブームですからね。ただし若い世代は、冷静に、半笑いで楽しんでいるように見えます。バブルファッションが“ウケている”のは事実ですが、決してリバイバルしているわけではないですよね。本気で平野ノラさんの『肩掛けケータイ』『太い眉毛』『肩パット』がおしゃれでカッコイイと思っている人は、まずいないですし(笑)」(DJGB氏)
■父親や母親が着ていた洋服を、娘が着ることも
ブームは巡る。さまざまな分野で共通して言われている言葉だ。バブル期そのままの文化が復活したわけではないが、ファッション界では当時のブームを受け継いでいるアイテムもあるという。
「最も象徴的なのは、ペンシルスカートだと思います。昔はタイトスカートと言いましたけどね(笑)。ひざ丈のものが主流ですが、体のラインをあらわにするシルエットは、ボディコンの語源であるボディ・コンシャス(体を意識した)のコンセプトに沿ったものです。ボディコンを扱っているブランドもいまだにあって、通販を中心に、意外に売れているようですよ」(ファッションブランド代表)
そのほかにも86年の映画『トップガン』で流行したフライトジャケットはデザインを今風にして、さらに、バブル絶頂期に注目されたケミカルウォッシュのジーンズも、“ダサかわいい”アイテムとして受け入れられているという。
「バブル期に青春時代を過ごした父親や母親が着ていた洋服を、現代風のコーディネイトにアレンジして、娘が着ることも増えているようです。2015年には、おニャン子クラブが衣装として使い、80~90年代に一世を風靡した、水兵のロゴがトレードマークのブランド『セーラーズ』が復活し、タレントの千秋さんが着たのがきっかけで、順番待ちになるほどの人気です。形を変えながらも、バブル文化は受け継がれているといえると思います」(同)
バブルを懐かしむ世代と面白がる世代、楽しみ方は年齢によって異なるとはいえ、日本が元気だった時代を象徴する当時の文化、アイテムは、世代を超えて人を惹きつけるパワーを持っているようだ。
(Kazuhiko Inose)