カルチャー
『奥様は発達障害』著者・さかもと未明さんインタビュー

「発達障害があるから、アタシは“さかもと未明”になった」生きづらさを抱える人に漫画で届ける希望

2017/03/14 16:00

奥様は発達障害』(講談社)より

 幼少期に知能検査をして発達障害だとわかれば、それは「特別な教育を受ける権利がある子」だと見なされる……米国ではすでに実施されているという教育方針に、さかもとさんは強い共感を示す。

「そのうえで、適切な職業を選択できるようになったらいいですよね。現状では、職場で孤立して就労が続けられなくなったり、それで引きこもりになったりという発達障害者が多いそうです。発達障害への理解が進めばそれも避けられるし、特殊な才能で社会に貢献できるようになると思うんです。アタシはいまでこそ『マルチに活躍されていますね』と言われますが、ほかの仕事がまったくできなかっただけ。企業に就職したこともありますが、電車に乗るのが怖くて会社にたどり着けないし、なんとか出勤できても、聴覚過敏でOA機器の音に耐えきれなくて……3カ月で辞めました」

 大きく紆余曲折しながらも、「幸せ」といえる現在にたどり着いたさかもとさんは、最後に、発達障害で悩む人、もしかしたら自身や家族がそうかもしれないと思っている人に、次のようなメッセージを贈る。

「アタシは、発達障害であることは、カミングアウトしたほうがラクだと思っています。“病気も借金も、隠すほど重くなる”という言葉があるように、自分から公表すれば、重くならずに済みます。アタシは膠原病で体が不自由になって、それまでできていたことが全然できなくなったんです。手も曲がっちゃったし、一時期は立つこともできませんでした。でも人間って、そういう状況にも慣れるんですよ。できないことはできないのだと受け止めて、やらないか、人にお願いすればいい。発達障害もそれと同じで、深刻になることなく生きていけると知ってほしいです」
(三浦ゆえ)

最終更新:2017/03/14 16:00
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