堀北真希があこがれる、「山口百恵」的専業主婦に必要不可欠なモノ
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「本人(堀北真希)が望んできたことなので」山本耕史
(「スポニチアネックス」3月1日)
女優・堀北真希が、2月28日をもって芸能界を引退したことを発表した。「スポニチアネックス」によると、堀北は山口百恵にあこがれを持っていて、周囲に「潔く辞めた姿が素敵」と話していたそうだ。
女性芸能人が結婚を機に引退を発表する時、必ず引き合いに出されるのが、アイドルとしての人気絶頂時に俳優・三浦友和と結婚、引退した山口百恵だ。引退宣言をしても、離婚や子育てがラクになってきたといって復帰する元芸能人は多いが、百恵は一度たりとも芸能活動をしたことはない。夫婦仲は良いようで、2人の子どもを育て上げ、三浦は紫綬褒章も受章した。完璧な妻で母といえるだろう。
百恵の生い立ちは、複雑である。引退直前に百恵が書いた『蒼い時』(集英社文庫)によると、百恵の父親は、母親と出会った時にすでに妻子がいたという。父親は百恵の祖父に「ちゃんとします」とあいさつしたものの、妻子と別れることはなかった。父親が生活費を渡さなかったため、生活は困窮。ところが、百恵がスターとなると、父親は事務所に借金をし、親権を要求してくる。最終的に百恵が“手切れ金”を払うことで、父親と縁を切ったそうだ。
陰のある少女がスターとなり、愛する人とめぐりあって幸福な家庭を築く。百恵のストーリーにシンパシーを寄せるのは、同じように複雑な家庭に育った女性芸能人である。中森明菜は、デビュー当時から百恵のファンであることを公言し、「結婚したら引退」とことあるごとに語っていた。明菜の家庭も裕福とはいえず、母親は昼夜働いて明菜にバレエを習わせ、その才能に賭けた。スターになってからは、兄弟が勝手に事務所から借金をし、明菜のお金で事業を興しては潰していたことが、女性週刊誌で報道されたこともある。近藤真彦とは結婚間近といわれていたが、近藤の家で自殺未遂をしてからはトラブル続きで、今も独身だ。
両親が離婚し、10代の頃から家族の大黒柱だった上戸彩も、「女性セブン」(小学館)のインタビューで「山口百恵さんになりたい」「料理や掃除、洗濯など女としての仕事をちゃんとこなせるようになりたい」と率直に百恵へのあこがれを語ったが、夫であるLDH WORLDのクリエイティブ・ディレクター・HIROとの離婚説や激ヤセが話題になるなど、百恵とはほど遠い。