『奇跡体験!アンビリバボー』制作の裏側! 海外事件の再現VTRは、どう作っている?
海外の事件や出来事を扱うバラエティ番組に登場する再現ドラマ。よく見かけるけれど、ロケ地は日本なの? 海外なの? 外国人の役者さんは日本で暮らす人? 台本はあるの? そんな素朴な疑問について、ズバッと答えていただくべく、『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系列/毎週木曜日19時57分から)の総合演出・山森正志さんに伺った。
■手前にサボテンを置いて、ぼかすだけでメキシコの空気になる
――『奇跡体験!アンビリバボー』によく登場する、海外の事件や出来事に関する再現VTRは、どこで撮影されているのですか?
山森正志さん(以下、山森) 基本は都内です。都内にはさまざまなスタジオがあるので、そこで作り込んで撮影することが多いです。変わったスタジオで言えば、初台に元々病院だったスタジオがあって、そこは地下室が本当にボロボロで、例えばテロリストや闇取引をする犯人のアジトとして使ったりします。
誰でも入れる場所であれば、自由が丘にあるイタリアのヴェネツィア風の商業施設「LA・VITA」。広くはないですが、水路が流れて橋があって、いい感じですよ。中世ヨーロッパのような街並みを感じさせる「高輪プリンセスガルテン」や、米軍ハウスと呼ばれる平屋が並ぶ「入間ジョンソンタウン」も雰囲気があります。あと、千葉の幕張は看板が少ないので、使うことが多いです。ただ、何もない場所を撮影地として選んでいるので、行ってもおもしろくはないですけどね(笑)。それから、何もないと言っても、360度、海外に見えることはまずなくて、絶対どこかに日本語の看板が入ってきたり、松の木が邪魔というようなことが出てきてしまう。そこをどう切り取るかが、海外らしさを出すポイントです。
よく使う手法は、“なめもの”です。中心となる対象物の手前に何かを置いて、ピントをぼかす。例えば、普通の日本のカフェで撮影する場合、対象物の手前にサボテンを置いて、ぼかすだけでメキシコの空気になる。画面の中の空気をどう作るかが重要なので、看板や小物はすごく準備します。
――インスタグラムの撮影にも応用できそうな技術ですね。出演されている役者さんは、どうされているのですか?
山森 日本で暮らす外国人タレントが多く在籍する事務所にお願いしています。番組として、再現VTRのレギュラーの役者さんは、特にいないんですが、芝居ができる外国人の方は限られているので、何回かに1回、同じ役者さんになってしまうこともあります。
日本で俳優を目指す外国人の方は極端に少ないので、正直なところ、日本の俳優さんのようなお芝居は求めていないんですよ。例えば、泣く芝居なんてすごく難しいのですが、ストーリー上必要なこともある。そういう時は、英字新聞に落ちてくる涙を撮るだけで、その人がアメリカで泣いているとわかる。それを、僕らの中では「小道具が芝居する」と言っています。