「正気の沙汰じゃない」テレ朝、“激戦区”日曜朝に「2時間サスペンス」放送で絶体絶命?
1977年7月から放送開始し、約40年にわたって「2時間ドラマ」枠として視聴者に親しまれてきたテレビ朝日系の『土曜ワイド劇場』の“看板”が、3月をもって消えることが決まった。同局は昨年4月に「土曜ワイド劇場」を「土曜プライム」と名称を変更。この4月からは、その「土曜プライム」が新ドラマ枠『日曜ワイド』(日曜午前10時~)としてリニューアルされ、これまでの人気シリーズの新作や過去作品、新ドラマが放送される予定だ。
『土曜ワイド』は『西村京太郎トラベルミステリー』(高橋英樹主演)、『タクシードライバーの推理日誌』(渡瀬恒彦主演)、『終着駅シリーズ』(片岡鶴太郎主演)、『ショカツの女~新宿西署・刑事課強行犯係』(片平なぎさ主演)、『ヤメ検の女』(賀来千香子主演)など、数々の人気サスペンスシリーズを送り出してきた。同局の鉄板ドラマ『相棒』(水谷豊主演)や、『スペシャリスト』(草なぎ剛主演)は同枠の単発ドラマでスタートし、連続ドラマ化された。
同局では4月改編で、土日のゴールデン/プライム帯を強化するため、午後9時台に新報道情報番組『サタデーステーション』『サンデーステーション』のオンエアを決定。これにより、『土曜ワイド』を、どの枠に移すのか検討が進められていたが、視聴率が低迷する日曜朝への移動が決まった。
日曜の午前10時~11時台は、爆笑問題の『サンデー・ジャポン』(TBS系)、ダウンタウン・松本人志の『ワイドナショー』(フジテレビ系)、『誰だって波瀾爆笑』(日本テレビ系)が激しい視聴率戦争を繰り広げており、昨年10月にスタートしたテレ朝の『帰れまサンデー』『帰れまサンデープラス』は完全にかやの外状態。同枠で他局に対抗するには、情報番組やバラエティでは難しく、独自路線の番組が必要との判断で、『日曜ワイド』の開始に踏み切ったようだ。
「日曜朝は視聴者もゆっくりしたいので、ライトな感覚の番組が適切。正直、正気の沙汰ではない大改編ですよ。『2時間ドラマ』は見る側にも集中力がいりますから、日曜なら昼過ぎや夕方の方が視聴者も見やすいのでは? さすがに日曜の朝っぱらからというのは、視聴率的に厳しいかもしれません。ただ、『土曜ワイド』には人気シリーズが数多くありますから、需要はありそう。従って、リアルタイムではなく、録画して見る人が多くなる気もします」(テレビ誌関係者)
果たして、同局の奇抜な試みは吉と出るか、凶と出るか? 仮にタイムシフト(録画再生)視聴率がよくても、CMはスキップされる可能性が大なので、スポンサーにとっては、あまりメリットはない改編かもしれないが……。
(田中七男)