グラミー賞の黒人差別が叫ばれる中、ザ・ゲームが「アデルは最高だ、ブロウ!」と才能を絶賛
現地時間の2月12日に開催された、米音楽界最大の祭典『第59回グラミー賞』で、ビヨンセが最高の栄誉である「最優秀アルバム賞」を逃したことが大きな波紋を呼んでいる。今年の「最優秀アルバム賞」に輝いたのはアデル。彼女も確かに素晴らしいアーティストだが、グラミーがビヨンセに最高賞を贈らないのは「黒人だからではないか」という声が高まっており、社会的問題へと発展しつつあるのだ。
そんな緊張感が全米に漂う中、ギャングスタ・ラッパーのザ・ゲームがアデルのことを「最高賞にふさわしい」と賛美する発言をし、大きな話題を集めている。
1959年に第1回グラミー賞が開催されてから現在に至るまで、59人のアーティスト/バンドに授与されてきた「最優秀アルバム賞」。音楽界では実に多くの黒人アーティストたちが活躍してきたのだが、この「最優秀アルバム賞」を獲得した黒人アーティストは、まだ10人しかいない。直近で受賞したのは、2005年に受賞したレイ・チャールズと08年のハービー・ハンコック。ハービーは、60年代からジャズの第一人者として活躍してきた超大御所アーティスト。レイは亡くなった翌年に受賞していることから、「黒人アーティストは、年寄りになるか死んだ後にしか最高賞はもらえないという新ルールになったようだ」と陰口を叩かれることに。
そんな流れを変えてくれると期待されていたのが、ビヨンセだった。白人受けがよく、世界中で愛されるスーパースターのビヨンセは、これまで多くの賞を受賞し、10年・15年にも「最優秀アルバム賞」にノミネートされた。しかし彼女が受賞するのは“R&Bが”が付いた部門ばかり。今年も9部門に最多ノミネートされたが、受賞したのは「最優秀ミュージック・ビデオ賞」「最優秀アーバン・コンテポラリー・アルバム賞」の2部門だけだった。
一方のアデルは今年、ノミネートされた5部門全てを獲得。「最優秀アルバム賞」「最優秀楽曲賞」「最優秀レコード賞」の主要3部門を受賞するのは2度目。そんな空気を読んでか、アデルは今回の受賞スピーチでビヨンセを持ち上げ、「あなたは毎日私の魂を揺さぶる。本当に大好き」「私たちアーティストは、あなたを崇拝している」と発言。ビヨンセも涙を流し、このスピーチに聞き入っていた。
しかし、アメリカの世論は違う。ただでさえ人種差別に敏感になっているところに、ビヨンセががっかりな結果に終わってしまったため、SNSでは怒りの声が噴出しているのだ。そんな中、元麻薬売人で銃撃を受けて昏睡状態に陥るなど数多くの修羅場をくぐり抜けてきたギャングスタ・ラッパーのザ・ゲームが、アデルの受賞は妥当だという発言をした。