松本人志との“確執”を突然暴露――角田信朗に見る、「ネット社会における自意識過剰」の恐怖
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「8年たって、名指しで、ブログでってルール違反じゃない?」ダウンタウン・松本人志
『ワイドナショー』(フジテレビ系、1月22日)
空手家でK‐1プロデューサーでもある角田信朗が、突然「ダウンタウン松ちゃんに伝えたいこと」というタイトルで、8年前からダウンタウン・松本人志に、“共演NG”を突きつけられていることをブログで明かし、瞬間的に話題を呼んだ。芸能ニュースとしては小粒だが、私にとっては、ここ数年のうちで、一番面白くて怖いと感じた芸能ニュースだった。
角田のブログでの説明をまとめると、以下の通り。角田は松本から、ある番組の企画でレフェリーをやってくれないかとオファーを受けた。しかし、当時K‐1では、判定方法などをめぐって問題が起きているということもあり、そのオファーを辞退。1年後に、『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)のオファーを受けた角田は喜ぶが、当日になって収録がなくなり、松本に出演を拒否されたことを知る。角田は、松本がレフェリーを断ったことを根に持っていることを確信し、それが現在まで尾を引くのは、何者かが恣意的に自分を悪者にしているからではないか……と推測していた。
もう何が面白いって角田の自意識過剰ぶりである。収録日に出演拒否されたことで、角田は自分が“共演NG”扱いになっていると思ったようだが、そもそも“共演NG”の意味をよく考えてみた方が良さそうである。
“共演NG”を、タレントの“好き嫌い”と解釈する人もいるだろうが、私は、当人同士の関係というより、テレビ局のリスク回避の手段であると思っている。出演者同士が揉めて、片方が降板したいとまで言い出した場合、テレビ局は2人のタレントの間で板挟みとなる。どちらを選んでも遺恨となるだろう。それに、浮き沈みの激しい芸能界で、降板したタレントが大ブレークする可能性もあるし、残った側がいつのまにか消えることもある。そのためテレビ局は、視聴率を稼ぐ可能性のあるコマ(芸能人)をより多く確保しようと、あらかじめ揉めそうな組み合わせで“共演NG”を設けて、トラブルを極力発生させないようにしているのではないだろうか。だとすると、“共演NG”を指定する方も、される方も、ある程度の実力者でなければならない。テレビの世界での角田と大御所・松本のレベルの差は、歴然としている。“共演NG”というより、角田は「仕事が来ない」といった方が適切ではないかと思えるのだ。
松本は、さっそく1月22日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、事の顛末を説明。角田がレフェリーを断ってきた番組は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』(同)で、収録の2日前に、ほぼドタキャン同然だったそうだ。多くの芸人のスケジュールを押さえ、衣装も決めていただけに、現場は大混乱。結局、予定していた日の収録は不可能となってしまったという。