コラム
【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由
「私にとって彼は花沢類」不倫相手に“セックスしない”関係を求める30代主婦が夢見るモノ
2017/02/05 19:00
■恋愛ごっこをしていたいんです
彼と会わない生活が日常となった数年後、ひょんなことから明香さんは彼と再会する。けれど彼は、当時明香さんが夢中になった彼ではなくなっていた。
「輝きが失せていたんです。今でもキラキラしているのですが、若い頃に感じていた眩しさはもう感じられませんでした」
身分違いのアイドルだった彼は、月日を重ねて、親しみのある存在へと変わっていった。
「私が結婚して余裕ができ、彼を客観的に見られるようになったというのもあるかもしれませんね。ただ、以前みたいにキラキラしてはいないけれど、やっぱりかっこいいし、今も彼は、追いつこうと思っても追いつけない存在です。たとえるならば、『花より男子』(集英社)の花沢類。花沢類は、牧野つくしが道明寺司との交際に傷つくと、いつも陰ながら支えてくれるキャラなんですが、彼も、夫や結婚生活の愚痴をこぼすと励ましてくれるし、優しい言葉をかけて、キスをしてくれるんです。でもセックスはしていません」
明香さんは、彼について「婚外恋愛相手でも不倫相手でもない」と言い、「少女漫画の世界に浸る高揚感を与えてくれる存在」と位置づける。また、以前のような関係に戻りたいとは思わないのだろうか?
「セックスしたいという気持ちはあるけれど、私と彼との関係が、ドロドロしてしまうと思うので、心の中でストッパーをかけています。ずっと彼への気持ちはキラキラさせていたい。相手がどうのこうのというより、自分の中だけで恋愛ごっこをしていたいんです」
そう話す明香さんの表情は、彼との“身分違い”によって自己嫌悪していた過去が信じられないほど、非常に爽やかであった。
(いしいのりえ)
最終更新:2017/02/08 17:31