シャイア・ラブーフ、企画した反ドナルドデモの現場で逮捕される
ここ数年、映画への出演といった俳優業より、肉体を使った芸術表現(パフォーミングアーツ)に力を注いでいる、俳優のシャイア・ラブーフ(30)。そんな彼が、現地時間1月25日に逮捕された。逮捕された場所はトランプ新大統領に抗議する目的でライブ配信カメラを設置したニューヨークの美術館の壁の前。パフォーマンス開始早々ニューヨーク市警に目をつけられ、案の定逮捕されてしまったわけだが、別の問題も発生しており、「トランプ大統領への抗議デモの場所」というより「トラブル勃発の場所」になりそうだと懸念する声が上がっている。
20日につつがなく行われたトランプの大統領就任式。この日、数多くのハリウッドセレブたちがSNSで抗議声明を出したが、「アートとして表現しよう」と行動を起こした男がいた。「自分の心に耳を傾けてほしい」と自分の脈拍をライブストリーミングしたり、エレベーターに24時間乗り続ける自分の姿をライブストリーミングしたりと、庶民には理解しがたいパフォーミングアーツに情熱を注ぐシャイアだ。
コマネチのようなポーズをとり「Just Do It!(行動に移せ!)」と繰り返し叫ぶ動画でネットの話題をかっさらったことがあるシャイアは、トランプ大統領誕生に居ても立ってもいられなくなり、友人と共に反トランプ・パフォーマンス・デモ「He Will Not Divide Us」を発案した。このデモは、「He Will Not Divide Us(彼は我々を引き裂くことはできない)」という文字を貼りつけた、ニューヨークの動画専門美術館「ミュージアム・オブ・ムービング・イメージ」の外壁前にカメラを設置し、大統領の今任期中の4年間、壁の前の様子を絶え間なくライブストリーミング中継するというものだ。
この壁の前には誰でも立つことができ、「He Will Not Divide Us」という文字を読み上げたり、トランプに対する抗議の言葉を述べるなど、さまざまなパフォーマンスをすることが可能。つまり「好きな時に自由にパフォーマンスできる、参加型の反トランプ抗議デモ」なのである。
「He Will Not Divide Us」開始当日には多くの人が集結し、ウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスも参加。2015年に「自分は人とは違う。誰もオレを理解できない」「ガリレオだってクレイジーだって呼ばれていた。だから自分がクレイジーと呼ばれることは光栄だと思っている」という超ビッグな発言をしてひんしゅくを買ったジェイデンは、神妙な表情で「He Will Not Divide Us」と繰り返すパフォーマンスを行い、若い層からも注目を集めるようになった。
言葉だけでなく、実際に行動を起こしたことが評価されたシャイア。しかし、彼はこれまで泥酔して問題行動を起こしたり、ブロードウェイでミュージカルを観覧中にタバコを吸い、役者の尻を掴んで逮捕された過去がある。ミュージカルの一件で逮捕される直前には、ニューヨークの道端で「オレだよ! シャイアだよ!」と叫びながらホームレスの男性を追いかけて回しており、奇行に走る姿も度々パパラッチされている。
そんな前歴を持つためか、ニューヨーク市警はシャイアが頻繁に姿を現すこの「He Will Not Divide Us」デモ現場を、「トラブル勃発の場所」になると懸念。23日から監視を開始し、ライブ配信映像の左横にはニューヨーク市警のパトカーが常に見えるようになった。シャイアはパフォーマンス開始早々、カメラの前で男性とケンカ寸前になっており、警察は監視を強めていた。