女子ワールド全開!! 「いがらしゆみこ美術館」こそ“結婚相手を見極める”デートスポットだ!
さあ、とうとう1階だ。ここには併設の「王宮風プリンセスカフェ」と、そしてこの美術館のメインストリームになってしまった「お姫さま体験」という名のコスプレサービスがある。ズラリと並んだドレスに女子の鼻息は荒くなるだろう。
だが、男子はどうだ……? これぞ、男子が最も興味のなさそうな世界である。そんな中、この女子ワールド満開の場所で、たいへん参考になるカップルを発見した。なんとカップルでドレスを楽しんでいるのである。2人でキャッキャとドレスをたしなみ、記念撮影にいそしんでいる。普段ならイチャイチャしているカップルなんぞ見たくもないけど、この2人なら応援したい!
撮影をお願いしたら、快く引き受けてくれた気のいい2人である。末永く仲良くしていてほしい。
ちなみに和久井は1人で美術館へ行き、1人でコスプレを申し込み、1人でドレスを選び、1人でドレスを着て、1人でカフェに行き自撮りを満喫していた。そこへドリンクを持ってきたスタッフ(袴のコスプレ着用)さんが、「撮りましょうか?」と申し出てくれた。
ただここのスタッフ、お姫様の国で働いている割には、非常に愛想が悪いのだ。コスプレとドリンクのセット割引チケットがあったのに定価でお会計してくるし、終始、笑顔のひとつもない真顔。無言で「なにこのおばさん、1人でコスプレしに来るとか、バッカじゃない?」と責められている気になる。……おかしいな、「笑って、キャンディ!」とでも言わないと、笑顔を見せてくれないんだろうか。
しかし、撮影を申し出たスタッフにカメラを渡すと、撮影の合図に彼女はこう言った。
「はい、キャンディ!」
そう、スタッフは愛想が悪いのではなく、ツンデレだったようだ。
というわけで、スタッフがツンデレなので、1人で遊びに行くと、アイスブレイクのきっかけがなく、真顔でコスプレをいそしむという、つらいことになる。
やはりここは、1人よりも2人で来た方が楽しいだろう。デートで彼と一緒に来て、彼がどれほど女子ワールドに寛容かをチェックするのもいい。この先、結婚したとしたら、意見の相違は山ほどやってくる。そのときに相手を尊重できる人間なのかは非常に大切なことだ。
女子ワールドなんて、誰にも迷惑がかかることじゃないのだ。「ドレスのコスプレとか、マジ恥ずかしいから行かない!」などという排他的な彼氏なら、お別れを考えるのも手である。彼との結婚は、お姫さまコスプレの可否で判断しよう。
「いがらしゆみこ美術館」
【博打デート度】★★★★★
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和久井香菜子(わくい・かなこ)
少女マンガ攻略・解析室室長、文筆家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。「わくい犬日記」「おかしな英語のパッケージ〜Henglish〜」更新中!