ドラマ『奪い愛、冬』、婚約中の浮気も不倫と同じ?
「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。
<今回のドラマ>
『奪い愛、冬』(テレビ朝日系/金曜日午後11時15分~)
■口頭の合意があれば婚約となる
1月20日スタートのドラマ『奪い愛、冬』は、倉科カナと三浦翔平が繰り広げる、どろどろの恋愛模様が見どころ。倉科演じる主人公・池内光は、婚約者がいるにもかかわらず、その心は妻帯者である元彼を求めていくという設定だが、結婚前の「婚約」の段階で浮気をしたら、慰謝料請求される可能性はあるのか? アディーレ法律事務所の村松優子弁護士に聞いた。
まず、婚約の法的な定義について、村松弁護士は次のように説明する。
「婚約とは、将来婚姻をするという約束をいいます。そのため、当事者が真に将来婚姻関係を成立させる旨の口頭の合意があれば婚約となります」
つまり、口頭で「結婚しよう」とプロポーズして、相手も受け入れれば、その時点ですでに婚約が成立した状態になるのだ。ただし、村松弁護士は次のように続ける。
「ですが、当事者の内心の意思は、客観的に把握するのが困難であるため、公的に婚約が成立したと言えるためには、長期間の肉体関係を継続していること、両親や友人などに対して当事者が婚約意思を伝えていること、婚約指輪の授受、結納の執り行い等の客観的な事情が存在していることが必要となります」
では、結婚前に婚約者以外の相手と浮気をしたら、された側は慰謝料等を請求することは可能なのだろうか?
「諸説ありますが、婚約をした当事者は、双方婚姻成立に向けて誠実に交際し、婚姻関係を成立させるために努力する義務を負っており、婚姻成立となれば互いに貞操を守る義務を負います。貞操義務に違反をすれば離婚原因にもなり得る以上、婚約中の当事者間においても、婚姻中ほど強くないとしても、互いに貞操を維持する義務を負っていると解されていますので、原則として慰謝料の請求は可能と考えられています」
いったん婚約したら、それはもう結婚に近い法的な拘束力があるということ。だから、浮気をすれば不倫と同じように見られても仕方なく、慰謝料を請求される可能性もあるのだ。禁じられた恋ほど燃えるものかもしれないが、ドラマの主人公の想いはどこまで行くのか、目が離せなくなりそうだ。