マイケル・ジャクソン再現ドラマに、娘・パリス「ありえないほどの侮辱」! 炎上騒ぎに
マイケルに似ても似つかぬジョセフは「チャレンジしがいのある脚本だ」と意欲を見せていたが、マイケルのファンはもちろんのこと、多くのアメリカ人が「マイケルは黒人なのに。尋常性白斑という病気で、肌は白くなっていたけど……」「レジェンドで故人であるスーパースターを、異なる人種の役者が演じるのは侮辱だ」と、この配役に強く反発。批判の声が巻き起こった。
ここまで批判されたのなら、キャスティングは変更になるのでは……という空気が流れたが、その後、同作に関する続報はなく、そのうちネット上でも話題に上がらなくなった。
そして、現地時間1月11日、そんな『Urban Myths』の予告編が公開。当初のキャスティング通り、マイケルはジョセフが演じているのだが、そうとはわからないほどの特殊メイクを施していた。鼻の形は見るに堪えないほどいびつで、白人なのに、さらに顔を白塗りしている。なんとも薄気味悪い顔でマイケルを演じているのだ。
アメリカでは今、「ハリウッドの黒人に対する人種差別」が論議の的となっている。きっかけは、昨年1月に発表されたアカデミー賞で、主要な賞に黒人俳優が1人も含まれていなかったことから、「前年もそうだった。ハリウッドは白人だけのものなのか? もう黒人差別には耐えられない!」と、多くの黒人映画関係者たちが声を上げたのだ。
そうして反差別意識が高まっている中、黒人が誇る世界的スーパースターのマイケルを、白人俳優が演じたのである。イギリスの作品とはいえ、「マイナスの部分だけを強調したような」特殊メイクを施した白人俳優がマイケルを演じたことに、多くの人が大激怒。批判が噴出した。
『Urban Myths』側は「あくまでコメディだから」と、深刻に受け止めないでほしいと理解を求めている。だが、マイケルの娘パリス・ジャクソンがTwitterで「ありえないほどの侮辱」「吐き気がする」と強く批判したこともあり、炎上は当分続きそうだ。
ちなみに、評判が悪かったのはマイケル役のジョセフだけではない。エリザベスを演じているのは政治ドラマ『ザ・ホワイトハウス』でアビー・バートレット大統領夫人を演じていたストッカード・チャニングで、どことなく似ているものの、メイクがキツく、まるでドラァグクイーンのようだと不評だ。
なお、マーロンを演じたブライアン・コックスは、雰囲気が似ているからか、特に批判は受けていない。しかし、ヒトラー役のイワン・リオンなど「全然似てない」役者もおり、ミスキャストなのは間違いないと、こちらもボコボコに叩かれている。
実はこれまでも、白人俳優が有色人種の役を演じるたびに、物議を醸してきた。1965年にシェークスピアの『オセロ』映画版で、全身黒塗りで黒人のオセロ役を演じたローレンス・オリヴィエ。61年の『ウエスト・サイド物語』で、肌を濃い茶色に染めプエルトリコ系のヒロインを演じたナタリー・ウッド。13年の『ローン・レンジャー』でインディアンのトントを演じたジョニー・デップ。アンジェリーナ・ジョリーが07年に『マイティ・ハート/愛と絆』でアフロ・チャイニーズ・キューバ系のハーフであるマリアンヌ・パールを演じたことに対しても、「違和感を感じる」と嫌悪感を示す声が上がった。
一方で、ラッパーのスヌープ・ドッグは、顔と手を白く塗り、ブロンドのカツラをかぶり「別人格の白人・トッド」に扮した動画を、インスタグラムに頻繁に登場させていたことがある。この時も相当気味悪がられたのだが、マリファナ愛好家のスヌープということもあり「ハイになりすぎ」と笑って流す人が多かった。しかし、今回の『Urban Myths』はテレビで放送される作品であり、それもあのマイケルを白人が演じるため、笑って流すことなど絶対にできないと、批判の嵐となっているのだ。
怒り心頭のアメリカ人に対して、イギリスでは「趣味は悪いけど、演技なんだから」と捉える人が多いようだ。「マイケルとエリザベス、マーロンの友情がどう描かれているのか楽しみ」だという声も上がっている。
『Urban Myths』は、英スカイ・アーツ局で今月19日に放送される予定。