カルチャー
東京都議会議員・塩村あやかさんインタビュー(後編)

「政治に参加すると得をする」塩村都議に聞く、フリーランスや非正規の女性が働きやすくなるためには?

2016/12/28 15:00

■応援するところは応援し、おかしいと思うところは「おかしい」と言う

――最後に、小池都知事が誕生して、都庁の雰囲気はどうなりましたか?

塩村 職員のモチベーションが下がっているのは、すごく感じます。今までは、知事が与党に数の力でコントロールされていることが多かったのですが、今はいい意味合いも大きいですが、よくも悪くもコントロールできないと聞いています。

 言い方は難しいんですけれど、小池さんのやり方は、良い部分もすごくある。けれど、マイナス面もあって、職員はいいと思っていない人も多いという気がします。今日も都職員がメイン読者の都政新報を読んでみたら、世論とは逆で(笑)、職員のモチベーションが下がってきていることがわかります。小池さんは、一気に変えてしまう。例えば、予算原案にない事業などを都議会の要望を受けて復活させる「政党復活予算」。やめるのはよいのですが、各会派に一度意見を聞くということは一切しない。たとえ、全員が「あったほうがいい」と言ったとしても、最終的に知事判断で決定すればいいのに、それをせずに何の打診もなくやってしまう。

――そのやり方だと、相手を怒らせてしまいそうですね。

塩村 問題点をあぶり出す、と言えば聞こえはいいけれど、そうはなっていない部分もある。「丁寧にやってほしい」という意見も届いていて、私もそう思う面はすごくある。改革の面では、すごく応援しているし、足を引っ張りたくはない。今の体制を変えなきゃいけないことは事実なんです。ただ、もろ手を挙げて賛成はできない。小池さんのことを非難すれば、選挙で損する。今は小池さんについているほうが、世論を得られますから。でも、それは有権者に対してフェアじゃないと思うし、応援するところは応援するし、おかしいと思うところは「おかしい」と言っていきたい。

 それにしても、今、都議会は「政策よりも政局」ですね。来年7月の選挙に向けて、本質論じゃないところで、話し合いが行われています。

――もう、選挙モードなんですね。

塩村 次回の都議選は難しいですよ。「今のおかしな都議会の制度を変えたい」と思うのであれば、小池さん率いるグループを応援するのはいいと思います。一方で丁寧な都政や公平で平等な都政を目指すのであれば、それは違うかもしれない。幸い都議選は、候補も政党もたくさんありますから、それぞれの候補や政党の特徴をよく考えてから投票をしてみてはいかがでしょうか。

 女性は、なぜか女性「目線」の議員を選ばない傾向があるんです。例えば、「女性の活躍だ」と言いながら、男性目線で物事を進め、男性に気に入られて要職に就いていく、ということは、そのおじさんたちの意向をくみ取っていくわけですから、ダメなんですよね。

 逆に、男性であっても、女性目線であればいいんですけれど、とても少ない。それから、“おじさん”議員の話をたくさんしましたが、若いからいいというわけでもありません。若くても変な議員はいっぱいいます。特に、“ノイジー・マイノリティ”(声高の少数派)といわれる、ネットを駆使して意見を強く反映させようとする議員が多いと思っています。そこにイデオロギーが介在する議員も多く、政治が「福祉」を行っている意味を理解していない若手議員が多いと感じています。SNSなどで主張していることを、しっかり見極めてください。

 最後にもうひとつ。みなさんが、候補者をしっかりと見ることが大切です。選挙公約に書いてあることも大事ですけれど、本当に実行してくれるのか。書いているけれど、やっていない人に投票することが、一番マズイです。実現に向けて、きちんと動いてくれる議員を選ばなきゃダメだと思います。それにしても、次回の選挙で誰を選ぶかは難しいですね。劇場型になるかもしれません。
(上浦未来)

最終更新:2016/12/28 15:00
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