「婦人公論」の老後資金特集、キリギリスに優越感を抱くアリのコツコツ節約
今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は、「老後資金、この先5年でできること」です。そういえば去年の年末特大号は「女の年金スペシャル」でしたね。バタバタ金が出て行きがちなこの時期に、しっかり財布の紐を締め直そうという「婦人公論」の心配りでしょうか。
ということで今号は、どこを開いてもカネカネカネの実用路線。「『個人型確定拠出年金』で、“節税”しながら年金を増やそう」「50代から始める『3000円投資』」「1日5分書くだけで貯金体質になる魔法の家計簿」など中年女性が飛びつきそうな甘い誘い文句が満載です。お金を守る/増やす術を紹介しながら、「貯蓄を増やそうと、手を出した株。時代の波にのまれ、総額2000万を失って」というトホホな読者体験手記でオトす。そして結局来年も「カネがない」「老後が不安」とうわ言を繰り返す、そんな「婦人公論」が大好きです!
<トピックス>
◎特集 老後資金、この先5年でできること
◎福原愛 家庭を持って、ラケットも握る。彼とならば、できそうです
◎『婦人公論』創刊100周年記念読者ノンフィクション大賞発表!
■貯蓄に秘められた女の人生
お金特集で面白いのは、やはり読者のお財布事情。「ルポ 1300万から6000万まで 読者10人が明かす資産額と貯め方のコツ」に登場するのは、当たり前のように貯蓄1000万円超えの方ばかり。そこに軽いめまいを覚えながら読み進めますと、「貯蓄上手な読者10人のアンケートを見ると、ほぼ全員きっちりと家計簿をつけている。収支のフローを正確に把握するのは、基本中の基本」と、ズボラな人には二度目のめまいが訪れます。しかし、「給与天引きなどできまった額を貯金に回したり」「家庭菜園で食費を浮かせたり」と、成功の秘訣はおおむねコツコツ型。それで2,000~3,000万貯めるって、もはや家庭菜園というより豪農では……。
みなさんの“私の貯蓄ライフ”には、それぞれにストーリーと哲学があり、非常に読み応えがあります。特に「人生で2度、貯蓄額が0円になりながらも、現在2600万円まで貯めた」という北海道在住57歳の女性。「結婚する前、私には400万円ぐらい貯金があったんです。それが、夫がギャンブルで作った借金の返済で一度0円に。その後2人で一所懸命働いて、900万円の土地と家を25年ローンで買い、もう一度貯蓄ゼロになったんです」。さだまさしの「アーアー」が聞こえてきそうな、女の壮絶人生from北の国。「北海道は暖房代が結構かかるんですが、うちは薪ストーブで、薪は山で拾ってきます。食費もあまりかかりません。地元金融機関の『100万円預金すると米10キロプレゼント』というキャンペーンを利用したり、親戚の農家が収穫物を持ってきてくれたり」