知られざる女子刑務所ライフ 元女囚が明かす厳しい実態
■人殺しから万引まで一緒
こうした規則の厳しさは、男性の刑務所とそんなに変わりません。男性との大きな違いは、人数ですね。『犯罪白書』(平成27年)によると、男性の既決囚約5万人に対して、女性は約5,000人と、10分の1くらいだそうです。ですから、女子刑務所の数は少なく、男性のように「LB」(累犯の長期受刑)などの区分もありません。人殺しから万引常習者まで、みんな一緒です。ちなみに一番多いのはナント「覚せい剤」関連です。自分で使ったり、バイ(密売)やバイ目的の所持ですね。
刑務作業を行う工場は「初犯」と「累犯」に分けられ、さらに通称「モタ工」(モタモタ工場の略)という高齢者や障がい者向けの軽作業のグループもあります。「モタ工」は男女共通で、差別語かもしれませんが、刑務所では普通に使われています。このほか調理や高齢の収容者の介護などの担当もありますが、これは誰でもできるわけではなく、品行方正で真面目な人が担当します。堀江貴文さんや鈴木宗男さんなどは高齢者の介護を担当されていたそうですね。
そして、初犯の工場のほうが、むしろ厳しくされます。「つらい仕打ちに耐えて、二度と戻ってこないように」という刑務官の親心なのかもしれませんが、この私でさえ、つらくて死にたくなったことがあるほどです。累犯のほうは、「また戻ってきたの? しゃあないなあ」って感じで、なれ合いすら感じます。いずれにしろ「きちんと更生しよう」という気持ちになれるシチュエーションではないですね。少なくとも、ムショは反省するところではないです。いわゆる模範囚も「早く仮出所したい」や「お菓子が食べたい」(問題を起こさないでいると、仮出所の審査の時に有利だったり、お菓子の購入や面会・手紙回数の増加などのご褒美があるんです)とか、そんな下心しかありません。
懲役とは、簡単に言うと「働く」ことなので、基本的にこうした工場が生活の中心となります。寝起きする舎房も、工場のメンバーと一緒です。舎房ではケンカあり、イジメあり、笑いあり、涙ありと、いろいろあって面白いのですが、もう戻りたくはないです。では、続きはまたお話しします。
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。
経営するラウンジ「祭(まつり)」