「44歳、独身、処女です」オンナの“孤独への不安”に、プウ美ねえさんが思うコト
家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。
【今回のお悩み】
「孤独が恐ろしくてたまりません」
44歳にして、独身、処女です。これからを独り身で過ごすことの不安に苛まされます。仕事は正規なので、食いっぱぐれはしませんが、誰にも必要とされていない孤独が恐ろしくてたまりません。好きな人はいますが、遠距離。現実から目を背けている自分、そのことがわかっていながら、逃げている自分がいやです。どうすればよいのでしょうか。(行かず後家さん、44歳)
【プウ美ねえさんの回答】
おねえさん自身の投稿かとおもいました。まず、同じ不安と恐怖を感じているひとがおおぜいいることを知ってください。そして、貴女は逃げていません。というよりも、不安に正面から立ち向かいすぎて、手も足も出なくなっている状態ではありませんか。もう少し、目をそらしても大丈夫です。
人は水中で呼吸できません。楽しく泳いでいるとそれを忘れますが、溺れると思い出します。幸せなときや、夢中になるものがあるとき「生きるのはちょっと苦しい」ということを忘れがちです。でも、何十年も泳いでいるとそれを思い出したり、「いつまで泳ぎ続けるのか」と不安になるときが必ずきます。孤独や不安を数えてしまうことも、誰にでもあることです。なぜ毎晩ちがうイケメンがベッドを訪れないのか、なぜ寝ているだけで毎月500万円ふりこまれないのかと、おねえさんもよく考えます。しかし、もしそのための努力が惜しいなら、それは本当の望みではないのです。
幸運なことに、貴女には仕事があります。おねえさんと同じく、世界の存亡を担うような期待はされていないかもしれませんが、そんな必要のされかたは嬉しくないものです。そして独身です。いつ、誰を、何人好きになっても自由です。幸運なことです。処女であることと、不幸せは関係ありません。恋人やセフレがいるひとは楽しげに見えますが、あれは過酷な練習をしたシンクロナイズド・スイミング・チームです。必死に息をあわせ、逆さまになったり頭をふまれたり、見えない水面下の苦労があるのです。わたしたち独り者は、スピードも距離も要求されず、自分のペースで泳ぐ幸せがあります。幼い頃、ただ水に浸かっているだけで楽しかった経験はありませんか? 貴女は水の中で何をしてもいいし、何もしなくてもいいのです。そして、できたら楽しんだほうがよいのです。疲れたら、ただ浮いていましょう。浮き輪やビート板に頼っても恥ずかしくありません。最初からイルカのように泳げるひとなどおらず、みんな誰かから泳ぎを教わって、それぞれに苦労して生活しているのです。いつかプールから上がるときまで、ただ楽しみませんか?
【今月のエプロンメモ】
おねえさんは47歳独身です。お金も才能も、将来の保証もありません。実際の水も不得意で、25m泳ぐのにも死にそうになります。けれど無理をして水泳が上達したいとは思いません。男性のビキニの股間や、濡れたお尻をみているだけで、じゅうぶん楽しいからです。
熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『本日もおひとりホモ。中年マンガ家生活』(ぶんか社)、『世界一周ホモのたび 狂』(同)、『TOKYO中年駄ホモ生活』(同)など。
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