「関東連合」元最高幹部に聞く、芸能人が裏社会と深い関係になりやすい理由
海老蔵事件、六本木のクラブ「フラワー」殺人事件など、数々の凶悪事件で世間を騒がせた半グレ集団「関東連合」。その関東連合の元最高幹部・柴田大輔氏が10月に上梓した著書『聖域 関東連合の金脈とVIPコネクション』(宝島社)には、市川海老蔵はもちろん、広末涼子の元夫でモデルの岡沢高宏らの名前が挙げられ、その他にも匿名でグラビアアイドルやAV女優、IT社長たちとの交流が綴られている。芸能人は、なぜ関東連合のような半グレと付き合うのだろうか? その背景を元連合の柴田大輔氏に聞く。
■関東連合のリーダーはヤクザよりかっこよかった
――関東連合の始まりは暴走族ということですが、そもそも、なぜ少年は暴走族に入るのでしょうか?
柴田大輔氏(以下、柴田) 2冊目の本(『破戒の連鎖~いびつな絆が生まれた時代』)にも書いたんですが、僕の場合、生まれは調布市の飛田給というところで、小学3年のときに杉並区へ引越したんです。田んぼでカエルと遊ぶような環境だったのが、遊び場といえば小さい公園かゲームセンターしかないところになってしまった。それで、すぐに登校拒否になりました。
当時は中学受験が盛んな時期だったので、学業格差がありました。塾に通い始めたんですが、親がそれほど協力的ではなかったので、トップにいけないということがわかり、心が折れてしまったんです。小5くらいから自転車で遠征するようになると、他校の子とぶつかるようになりました。けんかは自分の存在を確保していくために必要なものなんです。その頃、駄菓子屋で万引きして、ゲームセンターに行くと、中学生の先輩と出会いました。その先輩たちと遊ぶのが小学校より楽しくて、バイクに乗ったりもしました。
不良ってお互い感化されやすいんです。昔の不良少年は変形学生服を着て、金髪のリーゼントだったけど、(関東連合元リーダーの)見立(真一)君は、スケーターみたいな格好をしていたので、かっこよかった。仲間内では、より悪いことしてるほうが上にいけるので、どんどん悪いほうにエスカレートしていきました。
――そのような不良だったにもかかわらず、著書『聖域 関東連合の金脈とVIPコネクション』に、「ヤクザには入らないと決めていた」という趣旨の記述がありますが、それはなぜですか?
柴田 暴走族で、全国制覇までは行かないものの、東京で一番くらいの自負がありました。だから、ヤクザみたいな魅力のない世界へは入らないと思ったんです。身近にいたヤクザの姿を見ている限りでは、夢を抱けなかった。上を目指すにはほど遠いし、憧れる要素がなかったんです。
16~17歳の頃、関東連合にK君というリーダーがいて、彼は地元のヤクザよりかっこよかったんです。現場のけんかで負けたことがない。黒人のボディガードを連れていたり、キャデラックのリムジンに乗ったりしていて、今振り返ると、それ自体はどうってことないんだけど、当時はすごいと思った。彼はそういうパフォーマンスがうまかったんですね。「部屋住み」(住み込みの子分)とか「電話番」とか、ヤクザの上下関係には意味ないと思ってたし、自分たちで錬金できたから、金に困って入る必要もなかったです。