コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

『しくじり先生』で泣いた高橋ジョージから考える、三船美佳が“離婚を言い渡した”ワケ

2016/11/03 21:00
高橋ジョージ公式プロフィールより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「何でもない“ような”、この3文字こそが幸せの肝」高橋ジョージ
『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系、10月31日)

 “夫婦関係”をテーマに扱うバラエティ番組が数多くあるということは、離婚を経験した芸能人にとっては、一種のビジネスチャンスだろう。ただし、離婚ネタでメシが食えるのは、世論を味方にできる(例:相手に不倫をされた)人か、自分に非があると認め、反省している人である。モラルハラスメントが原因で三船美佳に離婚を言い渡されたとされる高橋ジョージは、後者のパターンを選択したようだ。10月31日放送の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)に出演し、モラハラの有無については触れなかったものの、「自分が全部悪い」と反省する姿を見せた。高橋は離婚の原因を「強烈にしつこい性格」と自己分析したが、番組を通して見た私の印象は、「しつこい」というより、「上下関係にこだわる」「上から目線がきつい」だった。

 バラエティ番組に出る、まして自らの“しくじり”を話すのは、人から“笑われる”ことである。しかし、高橋は“笑われる”ことを良しとしない。例えば、離婚の原因を「しつこい」と自己分析した際、レギュラー出演している平成ノブシコブシ・吉村崇に「(高橋は)バラエティに出てる時も、コメントに食らいついて盛り上がるまでしゃべる」と同調されたところ、ムッとして「これ(俺の発言)に乗っかって、(好き勝手)言わないように」と忠告していた。モラハラのイメージを払拭するためにバラエティに出ているのだとしたら、この返しは逆効果ではないだろうか。

 番組は、高橋の人生を辿る形で進行する。高橋は、「トラブル」というバンドで念願のメジャーデビューを果たす。当時はCMとのタイアップ曲がヒットする時代だったので、「トラブル」という名前ではスポンサーの心証が悪く、バンド名の変更をレコード会社に求められたという。当時の高橋は、「なんで音楽を知らない大学出のおまえらに言われなきゃいけないんだ」と思ったそうだが、レコード会社は彼らを売り込みやすくするための手段として、バンド名の変更を求めたのであって、学歴は関係ない。

 上下関係にこだわるエピソードは続く。「(三船は)臆することなく、自分の意見を言う」「子どもができるまで、俺の名前を呼び捨てだった」そうで、高橋はそれを「可愛く見えても、腹は立たない」と言っていた。しかし、これは逆に「そんな妻の態度を許してやる度量の広いオレ」アピールに見えてしまった。つまりこの発言は、「妻は自分の意見を言ったり、夫の名前を呼び捨てにしてはいけない」という考えから来ているのではないだろうか。「24歳離れていたら、ケンカにならないと思った」とも言っていたが、年齢差がいくつあろうと、違う人間同士なのだから、意見が違うのも当たり前とは思わないようである。

 終始そんな姿勢の高橋だけに、「既婚女性の45%が離婚を考えたことがある」というデータを示し、「女性の離婚に対する意識が高まっている」と分析していたその言い草も、私には「結婚したら、離婚するべきではない」「女から、離婚を言い出すなんて」と聞こえてしまった。

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