ヒップホップ界の暴れ馬シュグ・ナイト、「ドクター・ドレーが殺し屋を雇い、自分を殺そうとした」と提訴
ヒップホップ史上最も極悪なレーベル「デス・ロウ・レコード」の最高経営責任者で、悪名高きシュグ・ナイト(50)が、レーベル立ち上げ当初は右腕的存在だったドクター・ドレー(51)に対して、「ヒットマンを雇い、オレを殺そうとした」などと主張し、提訴した。
1990年代半ばに勃発した“ヒップホップ東西抗争”の黒幕だとされるシュグは、アメリカで最も危険な都市の1つとして知られるカリフォルニア州コンプトン出身の元アメフト選手。「クリップス」と共に2大ストリートギャングと呼ばれる「ブラッズ」のメンバーで、暴力的で野蛮なギャングのルールにのっとり、強引にビジネスを進める悪党として恐れられてきた。しかし、近年は銃撃されたり破産したりと、立て続けにトラブルに見舞われており、裁判所で倒れるなど健康状態も悪化。現在は、昨年起こしたひき逃げ事件裁判の真っ最中で、刑務所に収監されている。
米大手ゴシップ芸能サイト「TMZ」は現地時間24日、シュグがドレーに対して訴訟を起こしたと報道。シュグいわく、彼はドレーと「生涯契約」を結んでいるが、「ドレーがオーディオブランド『Beats』をアップルに売却し大金を得た時、自分に分け前を渡すのが惜しくなり、ヒットマンを雇ってオレを殺そうとした!」と、訴訟を起こしたとのこと。この「生涯契約」だが、「マネジメント料として、ドレーが生きている間にエンターテインメントで稼ぐ収入の30%をシュグに渡す」というめちゃくちゃなもの。しかし、シュグはドレーのマネジメントをここ20年間していない。ドレーは、暴力を用いて強引にビジネスを行うシュグに我慢できなくなり、96年春にデス・ロウを脱退しているからだ。
その後、ドレーは、天下のユニバーサルミュージック傘下の大手インタースコープ・レコードを通し、自分のレーベル「アフターマス・エンターテインメント」を立ち上げた。万が一、シュグに法的な問題をふっかけられても、大企業であるインタースコープ・レコードの優秀な弁護士チームがいれば大丈夫だとも踏んだのだろう。
そのため、ドレーがシュグと決別してから「稼ぎの30%」を払い続けてきた可能性はゼロに近い。実際、今回の訴訟を受け、ドレーの弁護士は「96年にデス・ロウ・レコードを去ってから、ドレーはシュグと一切の交流を持っていない。シュグの弁護士が、悪意訴追で逆に訴えられても大丈夫なように、たくさんの保険をかけていることを祈るのみだ」という声明を発表。相手にするのもアホらしいと一蹴している。
シュグが裁判所に提出した訴状に記されている通り、確かにドレーは2014年5月にBeats をアップルに30億ドル(約3,100億円)で売却。Beats共同創設者であるドレーの同年税込所得は6億2,000万ドル(約645億円)になり、米大手経済誌「フォーブス」の「2014年に最も稼いだミュージシャン」第1位に輝いた。