消えたゆるキャラを捜査! ふなっしー「キャラ崩壊」、ちっちゃいおっさん「商魂まみれ」?
「ふなっしー」がほぼテレビから姿を消した。あの耳ざわりな甲高い声も、むしろ懐かしいこの頃となってしまったが、全国のゆるキャラも直接“声”を出すことは少ないにせよ、Twitterでは自らの思いをつづっている。いったい、彼らは日々どんなことを書き込んでいるのか調べてみた。
まずは、ゆるキャラブームの黎明期、滋賀県彦根市の「ひこにゃん」と共に、その人気をけん引した奈良県の「せんとくん」。2008年、2年後の平城遷都1300年記念事業の公式マスコットとして、奈良県が約1000万円かけて作ったものの、登場した当時は可愛さからかけ離れた、不気味な存在感で批判が噴出。一時はゆるキャラとしての存続が危ぶまれたが、今や奈良県の観光マスコットとして定着している。
そんな「せんとくん」のTwitterを見ると、例えば10月12日、「せんともライザップ行ってみたい」と、何の前ぶれもなく、いきなりつぶやいている。自身の体形を気にしていたところ、何かを見たり聞いたりして行こうと思い立ったのだろうが、その“いきなり感”は彼の資質のようで、9月6日にも突然「ちなみにガリガリ君はソーダ味専門です」と、何についての「ちなみに」なのか、よくわからないツイートをしている。
フォロワーが7万人もいる大人気Twitterだが、実はこれ、「なりすまし」によるもの。実は、本物のせんとくんがつぶやいている「公式」Twitterのフォロワーは9,000人あまりなのである。10月12日、ニセのせんとくんがつぶやいたその日、本物せんとくんは、週末に開かれる「ゆるキャラ博」のPRをするなど広報活動に務めている。こうした真面目に公務をこなす本物より、「ライザップに行きたい」とつぶやくなりすましのほうに人気が集まってしまっているこの現状……。しかしそれに対して奈良県は目くじらを立てていないのだとか。その懐の深さはさすが”いにしえの都”といったところだ。
続いて、兵庫県尼崎市の非公式キャラクターで、元祖しゃべるご当地キャラ「ちっちゃいおっさん」。現在おっさんがTwitterのトップに固定表示しているのが、今大人気のピコ太郎のYouTube動画「PPAP」を、ちっちゃいおっさんに仕立てたアニメーション。2年前、おっさんの生みの親が39歳の若さで心不全により他界し、活動継続が困難になるのではと危惧されたようだが、現在は2代目がそのたくましい商魂までしっかり受け継ぎ活動している模様だ。
そして、千葉県のゆるキャラ「チーバくん」。Suicaペンギンなどを手がけたイラストレーターが作ったもので、Twitterでの口癖は「おはちばー」。「おはよう」と「千葉」を強引に合わせたオリジナルの挨拶で、はやらそうとしている感が満載なのだが、この言葉、現状、チーバくんしかつぶやいていない。
「ふなっしー」の語尾はもちろん「なっしー」だが、ほかのゆるキャラも同じように語尾を変えている者もいるようだ。
例えば東京都・国分寺市のゆるキャラで、丸いグレーの顔からにょきっと伸びる足が特徴的な妖精「にしこくん」。その語尾は「今日さむいブーン」「みんなもゆるく過ごしてるかブーン?」と「ブーン」を、また北海道士幌町(しほろちょう)のゆるキャラ「ジャガイモン」は「おはジャガ」「待ってるジャガ」と「ジャガ」を連発している。
しかし、いずれも「ふなっしー」のように、直接しゃべるキャラではないのであまり効果的ではないような気もするが……。
さて、ゆるキャラ界の頂点を極めた「ふなっしー」。Twitterのフォロワーは140万人と、ゆるキャラの中でもNo.1。くまモンでさえ54万人と、ケタが1つ違う。そんな彼は今、何をつぶやいているのか? 明るく「なっしー」「なっしー」言っているのかと覗いてみると10月22日付の投稿では、「100円均一の両面テープ壁掛けフックは全く信用できないっ!そうだろ!」と、超個人的なつぶやきを投稿していた。
これほどまでに地が出るツイートをするなら、そろそろ素顔をさらして、芸能人の「すっぴん顔」ではないが、新たなビジネスチャンスを求めた方が良い気もする。いずれにしても、ゆるキャラの“中の人”も、いつまでそれを続けられるかわからない不安と日々戦っているのかもしれない。
(鈴木港)