コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

ANRIこと坂口杏里、Twitterでの振る舞いに見る“彼女が生きにくい理由”

2016/10/20 21:00
最近Twitterがお盛んなようだけど

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「本当に優しい」ANRI(坂口杏里)
(公式Twitter、10月10日)

 過去、本連載の川本真琴の回で書いた通り、精神的に不安定な人にTwitterは向かないと私は思っている。不安定な人は、その心情をツイートし、他人からのリプライでもって自分を落ち着かせようとするが、自分の思うタイミングや内容のリプライが来るとは限らない。予想外のことが起きると、ますます不安定になるという悪循環に落ち込む可能性があるからだ。

 ホストクラブで母の遺産を食い潰し、借金返済のためにAV出演したと報道されているANRIこと坂口杏里。激ヤセや整形依存疑惑により、メンタルの不安定さは以前からささやかれていたが、川本とはまた違った意味で、この人もTwitterに向かないと思う。

 その理由は、ANRIは物事のオモテとウラが読めないように私には見えるからだ。例えば、友人の結婚式に対する感情のオモテウラは、「おめでたい」というのがオモテの感情、「ご祝儀払うと今月ピンチだな」「支度が面倒くさいな」というのがウラの感情である。オモテの感情しか持ち合わせない場合、自分が結婚式を行う際、花嫁ハイを起こして周囲を疲労させるし、ウラの感情だけでは招待客としてお祝い事にケチをつけるかのような振る舞いをする可能性がある。オモテがよくてウラがダメというのではなく、両方バランスよく持つこと、そして人もまたオモテウラの感情を両方持っていると知ることが、人間関係を保つ上で必要になってくる。

 ANRIのAVデビュー作とヘアヌード写真集のタイトル『What a day!!』は、元カレであるバイきんぐ小峠英二のネタ「なんて日だ!」を英訳したものだ。小峠は『リンカーン芸人大運動会2016』(TBS系)でANRIのデビューをいじられており、その後、ANRIが迷惑をかけたことへの謝りのメールを送ると「全く気にしなくていいから頑張ってねー」という返信がきたと、Twitterで明かしている。ANRIは「本当に優しい」と感謝しているようだが、これは小峠のオモテの感情しか受け取っていない。小峠のウラの感情を深読みすると、「芸人だから仕方がない」もしくは「今謝られてもどうにもならないから、そう言うしかない」「もう自分とは関係ない人と波風を立てたくないから表面上そう言った」などと考えることもできる。

 そんなANRIは、Twitterにおけるオモテとウラにも疎いのではないだろうか。

 例えば、フォロワーの多さを誇る人はいても、少ないことは自慢にならない。フォロワーがたくさんいることをオモテから受け取ると、それだけ自分に人気がある証拠と考えられる。しかしウラを読めば、フォロワーが全て、お金を使うという意味のファンだとは限らないのである。例えば、オモテ面をベースに考えるならば、10万人のフォロワーがいる作家の著作は10万部売り上げる計算になるが、フォロワーの数と売り上げは一致しない。フォロワーのウラ面を知る者ならば、純粋なファンもいるが、一方で暇だから見る、無料なら見る、悪意を解消するネタとして見る程度の気持ちの人もたくさんいることを理解できるだろう。

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