『渡る世間は鬼ばかり』の旋律に、天童よしみが歌を乗せたことの意味
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎願わくば不朽不滅
大変だ! 『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)の曲に歌詞がついたぞ!
数年に一度、脚本家・橋田壽賀子センセイご存命のお印として放送される、ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』スペシャル。あの替え歌作り放題の、おなじみの旋律に歌が。「渡る世間はおーにー、ばかりっだけどー」か。歌手こそ天童よしみだったが、歌詞超テキトーでやんの。特別感というより「やっかい払い」の感がより強まった印象。
今回こそもう最後、もう最後との視線を受けながら幾年月。生涯現役とのたまう91歳のセンセイに対する、局側の遠回りの「これで最終回」の決意表明と受け取ったが。今後どうなる。to be concinued!
◎有能な姉妹
薄氷を踏む思いで見守られる、国民的番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)。特に「ビストロSMAP」は、ゲストの人選が「その場の空気がリアルに伝わりにくい人物」という点を最優先に考え抜かれている感じが、薄氷感マックス! 今週は広瀬アリス・すず姉妹であった。
告知たっぷりなビジネス出演、往年のSMAPを知らない若さ、「この2人が姉妹でいる家って、すげーな」ってベクトルに意識行きがち。全方位盤石にコーナーを支える姉妹。
しかし、広瀬アリス。フツーにかわいい娘さんなのに、広瀬すずを妹に持ったばっかりに「ちょっと顔デカくない?」「歯ぐき目立ってない?」「顔だち昔の美人ぽくない?」と、少ない欠点が拾われがち。当社比の悲劇。でもリアクションはいいな。志村けんのコントの妻役に向いてる気がする。
「いつも一緒にいます」と話し、ベタベタキャッキャはしゃぐ2人を見ていると、何かこう不安なデジャブが。昔の若貴兄弟と似ているのだ。危ない。そっち行っちゃダメだ! 薄氷の数を増やすことで、SMAPのヒヤヒヤ感から目を逸らせる作戦は成功した。次は何作戦だ。
◎伝記化決定
「結婚おめでとう!」の愛ちゃんであるが。絞りの大振袖を、今風でなく、伝統的な古い着こなしで、日本文化どーん! その返す手で翌日、流暢な中国語による「嫁入り」アピール。むぅ。かなりの戦上手。
彼女のメンタリティの中で「中華圏」が収まる部分が、徐々に徐々に大きくなっていった過程が見えた気がした。何をどうすれば中華圏で人気が出るのかを知り尽くしている。日本国内でのイメージも維持し、あっちでも、という意味では、今回の「台湾のイケメン卓球選手と結婚」という計画(計画じゃないが)は、唯一無二のいい牌の揃え方であると思う。
「日本のスポーツ選手のアガリは政治家」というのが今までのセオリーであったが、「外国でも」という可能性も見えてきたのではないか。我々が今見ているのは、将来の「初の外国人台湾総統」なのかもしれない。考えすぎか。そうでもないか。
今井舞(いまい・まい)週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)、近著に『気になる「あそこ」見聞録』(新潮社)がある。