コラム
真夏の最恐ラブホラー! 彼を誘って体験されてはいかがでしょう?

幽霊がいるラブホテルは○○の証拠!? お祓いしないほうがいい理由とは

2016/09/10 15:00
Photo by Karl Baron from Flickr

 ラブホテルの清掃員をしている大塚が体験した&同僚から聞いたコワーいラブホ怪談をご紹介します。

【第9話 お祓い不要?】

「大塚ちゃんの勤めてるホテル、まずいんじゃないの? 幽霊出すぎ!」

 このコラムを読んでくださった、ある編集者さんから言われました。実は以前は大塚もそう思っていたのですが、他店さんから移ってきたスタッフたちによると、どこも似たような感じです。ラブホの清掃スタッフは、よくいえば人材の流動化が進んでいますが、悪く言えば定着率が悪く、他店さんの情報もたやすくゲットできるのです。

 当ホテルにも自称「イジメられて怒って辞めてきた」ベテランのカワカミさんがいます。職人さんタイプで、たしかにお世辞が言えない世渡りベタな感じですが、むしろ当ホテルでは優秀なスタッフです。

 ちょっと前ですが、従業員控室で「お祓いをどうするか」というお話になりました。

「だって、4階とかマジ怖いもん。ネットでうわさになる前にやったほうがいいよ」

 オッサンのくせにコワガリのヒグチさんが強調しますが、スズキ主任は反対です。

「バッカだなあ。怖い怖いと思ってるから怖いんだよ。だいたい24時間営業なのに、いつ呼ぶんだよ? 店を閉めてまでやることじゃねえし、お客さんいるのに神主や坊主を呼んだら、相当怪しいじゃねえか」

 さすが主任です。でも大塚が「なるほど。衣装だけなら『そういうコスプレかも』と思っていただけるかもですが、アノ時にお経とか聞こえてきちゃうとアレですもんね」と言ったら、「大塚が言うと何かヘンだなあ」と怒ってましたが。

 そんなやりとりを黙って聞いていたカワカミさんが、おもむろに「いや、幽霊が出るって、繁盛店の証拠なんですよ」と言い出しました。

「ヘタにお祓いなんかしちゃうと、かえって経営が悪化しますよ」
「ええっ!?」(一同)
「霊が集まってくるのは、人が集まっているからなんです。まさに千客万来ですよ」

 カワカミさんのシブい説得力にみんな納得です。

「すごい祟りとかがあったらダメだけど、そういうのがないのなら、そっとしておいたほうがいいです。大塚さん、霊で困ったことある?」
「えっ? そういえばないですね……。お掃除を終えてお部屋を出ようとしたら、肩を叩かれた気がして振り向くと、備品を置き忘れているのに気づいたことは何回かあります。それって今思うと……」
「いい霊じゃん!」

 みんなが声をそろえました。

「ですよね。あとオッサンの咳払いが聞こえた気がして、驚いて振り返ったら、冷蔵庫の下に歯ブラシの袋がちらっと見えたこともあります。慌てて拾いました」
「それはちょっと怖いな……」(一同)
「大塚さん、それはむしろいい霊ですよね。やっぱりお祓いはしないほうがいいですよ」

 ヒグチさんだけは納得できてないようでしたが、このカワカミさんのご意見通り「お祓いはナシ」ということになりました。

 ほんとは控室にお菓子とかお供えしたいんですけど、いやがるスタッフがいるので、やってません。ちなみに出退勤時には、心の中でごあいさつはしてます。

大塚(おおつか)
都内某所のラブホで働く現役清掃員。R-ZONEと月刊誌「週刊実話ザ・タブー」(日本ジャーナル出版)で清掃員の日常を連載中。

最終更新:2019/05/21 16:47
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