カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」9月13日号
日常に疲れた「婦人公論」読者を救う、若手俳優たちの妄想への受容力
2016/09/04 14:00
「ベッドもお風呂も一緒で、毎日チューしてる」という報道があったとのことですが、実際は「ベッドは別でした」とのこと。知らんがな。
このイケメン俳優同士のいちゃいちゃした感じがたまらない御仁もいらっしゃるでしょうが、おそらく「婦人公論」乙女の妄想心をくすぐるのはBL的な世界観より、映画という虚構とリアルがないまぜになったこの絶妙な距離感ではないでしょうか。全部ホントではない、だけど全部ウソでもない。先ほどのアンケートでも、役者やアイドルのパブリックイメージはそのまま妄想に投影されていました。だからこそ作品での役を「ウソ」と言い切らず、こういう形で見せることは、帰りの京葉線に乗ってもまだディズニーランドが続いているようなワクワク感があるのでは。
綾野「怒りって、理路整然と語れるものではなくて、跳ね返ってくるものだから」
妻夫木「語れないよね、言葉では。説明がつかないからこそ、文学が生まれ、映画が生まれるんだと思う」
こんな言葉のやり取りも「仕事を語る男ってなんかセクシー」と印象づけるのでしょうね。実際なに言ってるのかよくわからなくても。いや、よくわからないからこそ。
「妄想」へツッコミを入れることほど、野暮なことはありません。女たちがあり得ない妄想を抱く背景には、もちろん目をそむけたくなる現実がある。そして女たちの妄想を育む“遊び”を持っていなければ、売れっ子芸能人になることもない。また1つ「婦人公論」で世間の仕組みがわかったような気がしました。
(西澤千央)
最終更新:2016/09/04 14:00