人気キャストの降板に、政治的圧力も!? 後味悪い/不本意な結末となった海外ドラマ作品5作
■『パークス・アンド・レクリエーション』 09年4月~15年1月 シーズン7で終了
架空の市役所の公園緑地課に勤める、ごくごく普通の役人たちの日常をコミカルにドキュメンタリータッチで描いた『パークス・アンド・レクリエーション』。コメディアンの登竜門と呼ばれる米NBC局の深夜バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』のレギュラーとして人気を博したエイミー・ポーラー主演の新作コメディということで、同局は放送前から大金を投じて大々的に宣伝。局は成功を確信していたが、放送開始直後から視聴率に悩まされ続けた。しかし業界やコメディファンの評判は良く、シーズン2後半から俳優のロブ・ロウとアダム・スコットをレギュラー入りさせてからというもの、人気が上昇。
政治ネタあり、時事ネタありで、視聴率的にはイマイチだったが、このまま低空飛行でシーズン10まで行くのではないかと見られていた。しかし、シーズン6の中盤で、ロブと女優ラシダ・ジョーンズが降板することが発表されると、「あの2人が抜けたら終わり」「番組は末期だ」とファンは不安に。クリエーターは「円満降板」をアピールしたが、「2人とギャラの面で折り合いがつかなかった」説、「ロブにもっと良い作品への出演オファーがきた」説を信じる者が多く、しらけムードが漂うように。
主演のエイミーは気丈に振る舞い、番組クリエーターも「いつ終わるかなんて考えたことない」と発言したが、局はこれ以上低視聴率番組を制作するわけにはいかないと決断。シーズン7での打ち切りを決定した。ラストシーズンは、通常の半分のエピソード数で構成されることになり、ファンはがっかり。最終話にはロブとラシダが特別出演したが、「お前らが降板しなかったら、まだ続いていただろうに」とかえってファンのヒンシュクを買ってしまった。
■『マダム・プレジデント~星条旗をまとった女神』 05年9月~06年6月放送、シーズン1で終了
病に倒れ亡くなった大統領の代わりに、女性副大統領が大統領に就任。アメリカ史上初の女性大統領となり、偏見や妨害にも毅然としてた態度で立ち向かい、きっちりと任務を遂行していく、という政治ヒューマンドラマ『マダム・プレジデント~星条旗をまとった女神』。女性大統領マッケンジー役を演じるのは、女優ジーナ・デイヴィス。自分が大統領になるはずだったのにと、彼女を大統領のポストから降ろそうと画策する下院議員ネイサン役を、大御所俳優のドナルド・サザーランドが熱演。ほかにも演技派俳優たちが数多く出演し、見応えある政治ドラマとして注目を集めた。
政界の問題も躊躇することなく描いたこの作品は業界からの評判が良く、エミー賞やゴールデングローブ賞の数多くの部門にノミネートされ、ジーナはゴールデングローブ賞で主演女優賞を獲得。視聴率はイマイチだったが、シーズン1の最終話は女性大統領マッケンジーVS下院議員ネイサンで次期大統領選を戦うという展開で終了。「シーズン2は絶対におもしろくなる!」とファンを喜ばせた。
しかし、シーズン1で番組はあっさりと打ち切られることに。シーズン2の選挙戦ではマッケンジーと選挙パートナーを組むことを決意した黒人首席補佐官の活躍も期待されていただけに、中途半端な終わり方に落胆する声が続出。局は視聴率低迷が理由だとしたが、「マッケンジーが無所属で、意地悪なネイサンが共和党だったことを、当時大統領だったジョージ・W・ブッシュが気に入らず、放送時間にわざと国民に向けてのスピーチを流すなどの妨害をした上で、最終的に『打ち切れ』と命じた」という陰謀説が、いまだに根強く残っている。