人気キャストの降板に、政治的圧力も!? 後味悪い/不本意な結末となった海外ドラマ作品5作
■『ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ』 08年1月~09年4月に放送、シーズン2で終了
『ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ』は、映画『ターミネーター2』後の世界を舞台としたドラマ。大ヒット映画シリーズのドラマ化ということで、企画段階から注目を集め、米FOX局も張り切って大々的に宣伝した。
中心的人物であるサラ・コナーを演じるのは、映画で演じたリンダ・ハミルトンではなく、レナ・ヘディ。ターミネーターも美少女型と大胆なアレンジを行ったが、レナは思った以上に役にハマり、美少女型ターミネーターを演じたサマー・グローもアンドロイドっぽく、大好評。もともと「未来は変えられる」を前提にしている作品なので、「こういうテレビドラマもあり」だとファンに受け入れられ、シーズン1は平均視聴者数1,080万人と、そこそこの数字を打ち出した。
実は、このドラマが始まったのは、アメリカで全米脚本家組合が大々的なストライキを決行している真っただ中。そのため視聴者は離れるわ、放送スケジュールは狂うわで、どこの局も大わらわ。そんな中でも大健闘した同作は、スムーズにシーズン2の放送が決定し、08年9月にスタートしたが、ストライキの余波を受けていた局側の放送スケジュール調整がうまくいかず視聴率の取りにくい曜日・時間帯の放送枠が当てられてしまい、数字は大幅にダウン。同年12月~10年2月まで中休みを入れたことで、さらに視聴者が離れてしまい、たった2シーズンで打ち切りが決定してしまった。
あまりにも急な打ち切りだったため、最終話はなんとかつじつまを合わせようとバタバタしているという印象を受けるファンが多く、「謎だらけの終わり」「お得意のパラレルワールドでごまかすのか」とブーイングが起こった。この作品は、日本のファンが多く、ドラマの復活を求める活動を展開したが、製作費2億ドル(約209億円)を投じた映画『ターミネーター4』が大コケし、製作会社が倒産。制作権はヘッジファンドが買い取るというゴタゴタが発生し、ドラマの復活どころではなくなってしまった。
■『トゥルー・コーリング』 2003年10月~05年4月 シーズン2で終了
「死体安置所で働く主人公トゥルーは、死者から頼まれると、彼らが死を迎えた日の朝に逆戻りできる能力を持ち、彼らが死なないように奮闘する」という、新感覚SF、ホラー、ミステリードラマ『トゥルー・コーリング』。主人公を演じるのは、ドラマ『バフィー ~恋する十字架~』に出演し、SFマニアに人気のあるエリザ・ドゥシュク。シーズン1の中盤から登場する不思議な男ジャックは、『ビバリーヒルズ高校/青春白書』のブランドン役で知られるジェイソン・プリーストリーが熱演した。
1話完結の要素が強く、見やすいと評判を呼んだ同作。回を重ねるごとに、トゥルーの過去、トゥルーを取り巻く人々、ジャックの正体などが小出しに明かされ、飽きがこない。出演者や脚本、演出のクオリティも高く、辛口なテレビ評論家たちも絶賛した。
しかし、視聴者数は500万人以下と、まったく振るわなかった。というのも、このドラマの裏番組は、天下無敵のメガヒットコメディ『フレンズ』だったからだ。『トゥルー・コーリング』を放送していた米FOX局は、NBC局の『フレンズ』に対抗すべく、同作の宣伝にも力を入れたが、『フレンズ』がラストシーズンを放送していたこともあり、視聴率は低迷しっぱなしでシーズン1は終了した。局は『フレンズ』が終わったこと、作品自体は好評だったことを踏まえ、シーズン2の放送を決定。
しかし、今度は『フレンズ』のスピンオフ『ジョーイ』が裏で放送されていたこともあり、この作品で視聴者を得るのは無理だと判断。新しいドラマで勝負に出た方が得策だと考え、シーズン2の放送が始まる直前に打ち切りを決断してしまった。ただしその時点で、すでにシーズン2の6話目まで撮影されていたため、5話目までは放送されたものの、6話目はDVD収録のみ、7話から13話は撮影を行わないことになってしまったのだ。その結果、『トゥルー・コーリング』の最終話は、とんでもなく中途半端なものになってしまい、楽しみにしていたファンは呆然。アメリカのテレビ史上指折りの「後味の悪い最終話」だと言われるようになってしまった。