カルチャー
『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』著者・永田カビさんインタビュー

レズビアン風俗に行ったのは母から自立するため 人間関係に悩んだ漫画家の生きづらさの乗り越え方

2016/07/29 15:00

■後戻りできないような、決定的なことをしなくてはと考えた

――本書の中で、「さびしい」「抱きしめられたい」という気持ちがある、どちらかというと女性の体に性的な興味があるとありましたが、ネットで「レズビアン 風俗」と検索するに至った理由を教えてください。

永田 母親とべったり癒着している感覚や、両親にかわいがられるために「大人になってはいけない」という気持ちから、狭いところに閉じ込められている感覚がずっと続いていたんです。そんな状況を変えるためには、なにか大きなことをしなければいけない。半端なことでは元に戻ってしまうので、後戻りできないような、決定的なことをしなくてはと考えました。

――最初はインターネットで「フリーハグ」を検索したが見つからず、次に「レズビアン 風俗」を検索されていますが、その2つは大きく離れている印象があります。「レスビアンバー」や、「レズビアン専用の合コン」などへは関心が向かなかったのですか?

永田 自分のコミュニケーション能力では、出会った人と肉体関係まで至るとは思えなかった。自信がなかったんです。金銭的に解決できるなら、解決してしまおうと思いました。

――性的な自立によって、母親からの自立を図ろうとしたのでしょうか?

永田 当時の私は、経済的な自立など、いろんな自立の方向を試していました。でもどれも、いまひとつピンときませんでした。「ひとり暮らしをしたい」と言ったら「ダメ」と止められ、お金を稼いで貯金して、家に入れてみても、母親から自立できたようには感じられなかった。だから、なにか特効薬的なものはないだろうか、と思っていました。また、それまで誰とも付き合ったことがなかったので、性的なアプローチをしたら、自分がどうなるかにも興味がありました。

――漫画を描くことで、ご自身の心に、どのような変化が生まれましたか?

永田 漫画を描く前から、自分の気持ちを思っているだけじゃなくて、文章に書き出す習慣はあったんです。文章化したり、図式化したりすると、頭の中だけで考えているよりもわかりやすいな……と思っていたので、書くようにはしていました。漫画に描いて発表するようになっても大きく変わることはなく、自分ひとりが見ているだけか、人にも見てもらえるようになったかの違いだけだと思っています。ただ、なるべくたくさんの人に読んでもらいたいので、読みやすいように、興味を持って読んでもらえるように、作画やエピソードの取捨選択など工夫しています。

――pixiv掲載後、著作出版後、それぞれどんな反響がありましたか?

永田 pixivに描いていた頃に頂いたコメントは、肯定的なものばかりだったのですが、著作出版後は、「自分はあまりピンとこなかった」というような否定的な意見を頂くことがありました。だからといって落ち込むことはなく、「やっと多くの人に読まれるようになったんだなぁ」と前向きにとらえられています。
(谷町邦子)

最終更新:2016/07/29 15:00
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