コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

スピードワゴン・井戸田潤、自称「あげまん」を憎悪する姿に見る“威張る男”の真意

2016/07/21 21:00
スピードワゴン公式プロフィールより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「オレと小沢さんの努力だからな」井戸田潤
『ノンストップ!』(フジテレビ系、7月18日)

 寝たオトコにツキをもたらすオンナ、あげまん。男性からすると夢のような存在だが、あげまんにこだわっているのは、実は女性なのではないかと思う。

 例えば、大リーガーの妻(里田まいやイチロー夫人・福島弓子)や、ノーベル賞受賞者などの妻を取材し、「成功の秘訣」として食生活や行動哲学を女性誌が特集することがあるが、冷静に考えてみてほしい。偉業を達成した彼らと同じ食事や行動をしたからといって、夫本人に才能がなければ、結果は出ない。にもかかわらず、こういった特集がなくならないのは、「家(家族)を大成させてこそ、オンナ(故に、家の不祥事もオンナの責任)」という一昔前の価値観が消えていないからではないだろうか。;おj

 一方の男性はどうかというと、「あげまんのおかげで現在がある」を口にする人を、少なくとも私は見たことがない。例えば、売れたミュージシャンはよく糟糠の妻を捨てるし、ビートたけしのような成功者も、「自分は宝くじに何回も当たったのと同じくらいラッキー」と言うことはあっても、「妻があげまん」と言うことはない。男性週刊誌に、夫の業績から、女性タレントのあげまん度を診断する特集が載ることがあるが、その特集を作る編集者も読者も一般人男性だろう。つまり、成功者はあげまんを明示せず、旧来の価値観に縛られる女性と、成功者とは言い難い男性が「あげまん」に固執していると言えるのではないか。一般既婚男性が「〇〇はあげまん」と言う場合、背後にあるのは「俺の妻はあげまんではない、だから、俺は成功しない」という“言い訳”であるように私は感じる。

 「あげまん」という言い方そのものを嫌う男性も多い。7月18日放送の『ノンストップ!』(フジテレビ系)において、視聴者から「私の元カレはJリーガー、その前の元カレはキックボクシングの日本チャンピオンになった。私は男を育てる女」とあげまん宣言とも思える投稿があったが(余談だが、別れた後に彼氏が大成するのなら、あげまんなのは次の彼女なのではないだろうか)、これに不服そうな顔をしたのが、スピードワゴン・井戸田潤である。

 井戸田はこういう発言をする女性が大嫌いのようで、「私と付き合ってから、仕事が増えたよね」といってきたという昔の彼女に対して、カメラ目線で「絶対違う。オレと小沢さんの努力だからな」と叫んでいた。それは努力を重ねてきた自負というより、「オンナごときに言われてたまるか」という主張に感じる。

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