「年を取って後悔しても遅い」アラサー女性が“とりあえず結婚”を考えてみるべき理由
晩婚化が進み、結婚に前向きではない男女が増える一方、街コンや相席居酒屋などの婚活ビジネスは盛況中です。矛盾を感じてしまいますが、結婚したい人とそうでない人が、極端に分かれているとも言えそうです。6月5日に『とりあえず結婚するという生き方』(ヨシモトブックス)を上梓した、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんに、アラサー世代へ向け、なぜ今、あえて結婚を勧めるのかを聞きました。
■結婚・出産しなかったことを後悔している女性をたくさん見てきた
――『とりあえず結婚するという生き方』とは、衝撃的なタイトルですが、なぜ今、とりあえず結婚をしようと勧める本を書かれたのでしょうか?
池内ひろ美さん(以下、池内) 「とりあえず」という言葉は、現代では「気軽に」などの軽い意味で使われていますが、本来は「何をさておき」「第一に」という意味なんです。だから、現代の「気軽に」という意味も含め、結婚を最優先に考えましょうということを伝えたいんです。もう、アラサーになっているのなら、ぐずぐずしているとすぐに40歳、50歳になってしまいます。
私のもとへは、多くの女性が相談に来られます。結婚したことや子どもを産んだことを後悔している方の話は一度も聞いたことがないのですが、結婚しなかった後悔、さらには子どもを産まなかったことへの後悔をしている方をたくさん見てきたんです。今、20代、30代の方のお母さんはその後悔を経験していないので、リアルな後悔を知りません。だから、若い方たちにお伝えしなきゃいけないと思ったんです。
結婚や出産しなかったことを後悔している方は、自分自身への恨みと共に母親にも恨みや憎しみを持っている場合が多いです。女性学研究家の田嶋陽子先生と、ある番組で共演した際、田嶋先生は「結婚しなくても子どもを産んでもいいんだと母親が教えてくれていたら、私だって産んでいたのに」と、母親への怒りを語ってらっしゃいました。ですから、年を取ってから結婚しなかったことや出産しなかったことを後悔する前に、とりあえず結婚しましょうと。
はっきり言って、40歳で独身と、40歳でバツイチ子連れだったら、明らかに後者の方がモテます。男性から見ると、40歳で一度も結婚していない女性はハードルが高いんですよ。ちょっとでもお付き合いすると、一生を押しつけられそうな恐怖心があって、お付き合いすらしてもらえないんです。だけど、バツイチ子連れだったら遊ぶという意味でも簡単に遊べるし、何が何でも結婚を迫ってこないだろうと。本当はバツイチ子連れの人とお付き合いをする方が重いのですが、男性はなぜかバツイチ子連れを選ぶということを、女性は知っておいた方が良いです。
――では、「とりあえず」結婚したい人は、具体的にどういった行動をとればいいですか?
池内 好きな人を見つけるか、マッチングを人に頼むかのどちらかです。
――街コンやお見合いアプリなどを始め、マッチングサービスは数多くありますが、良いマッチングサビースの選び方などはあるのでしょうか?
池内 それは自分で考えてみましょう。洋服選びと同じだと思ってください。10万円の服を見つけたとき、10万円の価値のある服なのか、ただ高い値段をつけているだけなのか、考えますよね。または、安い服でもフィットして価値のある服と感じるものもあれば、単に安くてダメな服もあります。しかし、全部の服を試着することはできないので、友人の服やファッション誌を見て参考にする方が多いはずです。
それと同じで、マッチングサービスも全部に参加することはできません。だから、ネットで評判を調べたり、実際に参加した友人の話を聞いたりして、参加するサービスを絞るんです。結婚だけ特別だと思うから難しく感じるんです。服選びや就活と一緒で、生き方の一つです。
――恋愛経験がない人は自分がどんな男性が好みなのかがわからないという人もいます。自分のタイプの男性を確立するにはどうすればいいですか?
池内 電車に乗って、もし、この車両の中で誰か男性と一緒に暮らさなければならないとしたら誰と暮らすかを選ぶんです。選んだからといって、別にその人に話しかけなくてもいいです。決めることができたら、別の車両に移って、また、誰と一緒に暮らすかを決めてください。それをすることによって、見る目が養われていきます。見ないと決められませんからね。
――なるほど。意識をして男性を見て選ぶ訓練をするんですね。最近、若い人のなかには「結婚はコスパが悪い」と言って結婚願望のない人もいます。なぜ、そう思ってしまうのでしょうか?
池内 それは、結婚を損得で考えているからです。結婚というのは本来、損得で考えるものではありません。厳しい言い方になりますが、メリット・デメリットだけでものを考えるのはとても幼い考え方なんです。例えば、損得で考えると社会貢献なんて誰もしませんよね。成熟している大人だからこそできることです。
――損得でしか考えられない人が増えたのは、自分の親を見て結婚したいと思う人が少なくなったということですか?
池内 二極化しているとは思います。母親が娘を育てるときに「結婚なんてしなければよかった」とか、「結婚したからお母さんは仕事を辞めて家庭に入らなければいけなかった」というような、ネガティブなメッセージを伝えると、娘さんは結婚したら損だと思ってしまいます。また、現在は高校生の1割以上がお小遣いやバイト代で月4万円以上の収入を得ているという調査結果もあります。一方、お父さんのお小遣いは月平均約3万7,000円。子どもの自由になるお金よりもお父さんのお小遣いが少ないとなると、お父さんは経済的に搾取されているし自由な時間もない、それは嫌だから僕も結婚しない、となるわけです。しかし、マイナスなイメージだけでなく、家族があることの誇りや、結婚したからこそ得られた幸せ、喜びもたくさんあるんですが、それを大人たちが伝えてこなかったことにも責任があると思います。