スタッフは見た! ラブホテルに現れる黒猫「モンタ」の怪奇現象
ラブホテルの清掃員をしている大塚が体験した&同僚から聞いたコワーいラブホ怪談をご紹介します。
【第2話】猫のモンタ
「たまに見かける猫ちゃんて、オーナーさんのですか?」
昨年の今ごろ、新人のホシノさんに聞かれました。北川景子系の美人で、初出勤日に「小説家を目指している」と自己紹介していました。
「ラブホはネタの宝庫だから、勉強になる」そうです。大塚はネットで書いていることはナイショにしてるので、ちょっと冷や汗が出ましたが、とりあえず「わあ、すごい。有名になってもお友だちでいてね」と社交辞令で返しました。
ホシノさんは小首をかしげ、「……考えときますね」。いや、単なる社交辞令なんですけどね。
話が思いっきりそれましたが、ホシノさんは「(幽霊が)視える人」だったようです。猫ちゃんなんか、ラブホにいるわけありません。
「猫だぁ? どこから入ってきたのかなあ? オーナーに知れたらまずいよ」
スズキ主任は知ってるくせにトボけます。
「ウチは衛生第一なんだから、猫なんかいたら大騒ぎよ。見間違いなんじゃないの~?」
フロントの美魔女・タナカさんも塩対応で、ホシノさんは納得できない顔をしていました。
実は、大塚は見たことないのですが、いつの頃からか当ホテルには「猫ちゃんの霊」も出るようなのです。「掃除のために客室のドアを開けておいたら、すっと入ってきて消えた」とか、「廊下を歩いているのがモニターに映っていたので、慌てて見にいったらいなかった」「屋上に通じる非常階段の一番上にいつも座っていて、見下ろしている」とかの目撃談があります。毛の模様はわからないようですが、黒っぽいらしいです。
見た人は気味悪がってたいてい辞めてるので、主任はじめ管理職の人たちにとってはうれしくないお話です。とはいえ、名前がないのもかわいそうなので、オーナーのあだ名をとって「モンタ」と呼んでいます。もちろん、あの有名司会者さんのお名前ですね。
「モンタ、また出たのか……」
「カリカリ(猫のドライフード)でもお供えしたいけど、ゴキブリが出たら幽霊より怖いからね」
主任とタナカさんがしんみり。困ったものですが、イタズラもしていないようですし、猫好きの大塚としては見てみたいものです。
そして、案の定というか、やっぱりというか、ホシノさんは1カ月ほどで辞められましたが、その後も作家デビューはされていないようです。
大塚(おおつか)
都内某所のラブホで働く現役清掃員。R-ZONEと月刊誌「週刊実話ザ・タブー」(日本ジャーナル出版)で清掃員の日常を連載中。