OLには許されず、ママには許される!? 「VERY」に見る“自分へのご褒美”観
ここ数カ月「VERY」(光文社)の読み物ページばかりに焦点を当ててレビューを書いてきましたが、今回は、まずファッション特集に注目してみたいと思います。第1特集は、「私たちには、夕方から着る服がある!」。夏の夕暮れに一度汗を流して、服を着替えてみようと提案をしている企画です。服を着替えて、何を楽しむかといえば、「実家に子どもを預けてビールを飲む」「子どもと夏祭りに行く」「スーパーに行く」「夕方に近所のママと集合する」などなど。言うなれば、「VERY」版“なんでもない日常を楽しく生きよう”企画のようです。
<トピック>
◎私たちには、夕方から着る服がある!
◎古市憲寿の未来社会学
◎クリス‐ウェブ佳子のWWW4W
■誰だって褒美がないとやっていけないけど……
なぜ「VERY」ママたちが、今の時期、普段とちょっとだけ違う日常を過ごしてみたくなるのかというと、子どもが夏休みに入り、送り迎えや次の日のお弁当作りに追い立てられないため、時間に余裕ができるから。フルタイムのワーキングママは仕事に追われているため、本特集の対象外で、使えない企画かもしれませんが、「夏の夕方って、なんかいいよね」「ちょっとおしゃれしたいよね」といったウキウキ気分が伝わってくるページです。
1つ気になるのは、誌面に漂う空気が、忙しい自分への“ご褒美モード”だということ。いまどき、OLが「自分へのご褒美」という言葉を使うと、「自分に甘い」「スイーツ」などと批判する層が一定数いますが、ことママはそれが許される存在に思えてきます。なぜなら、普段は夫や家族のため、もっと言えば、次世代を担う子どもを育てているという自負が誌面からあふれてくるからです。少子化時代だからこそ、ママという肩書が特別視されているのかもしれません。
■VERY世代にとっての死とは?
古市憲寿さんの連載「未来社会学」、今月のテーマは「未来の死」で、安楽死などについて取り上げています。日本では、女性の2人に1人は90歳まで生きる「悲願の長寿」を手に入れたものの、日本はこれから未曾有の高齢社会に突入するそう。上野千鶴子さんの「団塊ジュニアの世代の老後に関しては、怖くて考えられない」という言葉を引用しながら、来るべき「周りを見れば高齢者だらけ」の時代について述べています。