「若くしてデビューした後輩」Hey!SayJUMPを槍玉に上げるA.B.C-Z・河合郁人の未熟さ
おそらくわかりやすい台本上のストーリーに、ゲストのことをよく知らないMCが乗っかっただけの安直な流れなのだろう。だが、これを見ながら思ったのは、「この一連の“JUMP悪者”話、一体いつまで続くんだろう」ということだ。
「Myojo」(集英社)1,0000字インタビューをはじめ、A.B.C-ZやKis‐My‐Ft2の「苦労話」が語られるたび、必ず槍玉に上げられてきた「若くしてデビューした後輩」Hey!SayJUMP。もちろん彼らの悔しさは大きかったろうが、Hey!Say!JUMPが先輩に失礼な言動をしたり、見下したりしたわけではまったくなく、それどころか本人たち自身も経験不足を自覚し、苦しんできた。
しかし、いつでも欠席裁判のように一方的に「苦労を知らない後輩」として名前を挙げられ、言い訳も反論もせず、自分たちなりの努力をしてきた結果、ようやく世間の認知度も人気も上がり、花開いたばかりである。
一方、Kis-My-Ft2はデビュー後の玉森裕太のブレークや舞祭組の勢いなどを経て、はやりモノから安定した人気に変わってきている。そして、最近ではメンバーたちがテレビ番組でも「苦労したとは思わない」「苦労話はやめよう」と語るようになってきている。
また、A.B.C-Zも、塚ちゃんのブレークと、社長や会社から得ているグループとしての信頼感、さらに河合の絶好調ぶり(同コラム既出)から、非常に充実した状態にあるように見えていた。
それなのに、相変わらず語られるのは、JUMPへの恨み辛みとは……。
この根深い恨みは、ある種、不仲の兄弟のようでもある。弟は兄の幸せを普通に願い、活躍を普通に祝福しているが、幸せな家庭を持ったり、仕事で充実していたりする兄の方は、お酒を飲むといつでも「オヤジはいつもお前ばかりを可愛がっていた」とグチるような、そんな関係性は結構あるものだ。
傍から見ると、「あんなに良い奥さんと可愛い子どもを持って、仕事もやりたいことをやってるのに、なぜ満たされないんだろう」と不思議に思えるものだが、そこには他者にはわからない身内(同じ時代を生きたJr.同士)ならではの積年の愛憎や業の深さがあるのだろうか。
ちなみに、こうした恨みがA.B.C-Zの総意とは考えにくい。河合の苦労話を聞きながら、橋本良亮は手を叩いて笑っていたが、戸塚祥太と塚田、五関晃一は静かな微笑みでうなずくだけだったし、「哀愁エピソード=後輩との差」として戸塚が語ったのは、こんな話だった。
「わかりやすいところでは、お弁当。現場でお弁当が支給されるじゃないですか。デビューしてる後輩の人は叙々苑。イイね!って(笑)。いいの食べられるかな!って思うと、(自分たちは)おにぎり2個とか(笑)。これが現実だな、と思いましたね」
戸塚は個人的にJUMPの薮宏太の親友であるとはいえ、実に大人であり、バラエティとしても使いやすい秀逸なエピソードである。
基本的に河合は他者を下げることで笑いをとるスタイルなのだろうし、もちろん本気の恨みというより、ネタではあるのだろう。しかし、これってバラエティとして笑いづらいし、ずっとダシに使われ続けるJUMPの気持ちもさることながら、スキルも会社からの信頼もあるA.B.C-Z自身の誇りを傷つけることにならないだろうか。戸塚と五関、塚田の表情が気になって仕方なかった。
(田幸和歌子)