カルチャー
うるう年の今年は「逆打ち」に注目

今年は「お遍路さん」の御利益が3回分!? 女性が殺到する人気の秘密

2016/06/25 15:00
Photo by Maarten Heerlien from Flckr

 「お寺カフェ」から「坊主バー」まで、お寺関連の施設が女性客を中心ににぎわいを見せている。何かと不安な時代、「御仏」に癒やされたい女子が多いのかも? 特に2015年は弘法大師(空海)による高野山の開創から1200年を迎えたことで、「お遍路さん」のブームも続き、ここにきて女性の参加も増えている。

■今年は八十八番から「逆打ち」

 「遍路」(四国遍路)とは、四国の4つの県内にある空海ゆかりの88カ所の霊場(札所)を巡る全行程約1,400キロの巡礼路である。

 「本来は厳しい修行の意味合いがあったのですが、現在は開運や縁結びから、自分探し、健康増進、パワースポット巡りまで目的はさまざまです。良縁を求める若い女性の参加も多いですね」と、都内の旅行会社の担当者は話す。初心者には巡礼路をバスで巡るツアーが人気で、子連れ参加がOKのツアーもあるという。

 巡礼路の「コース」では、一番札所(徳島・鳴門市の竺和山霊山寺)から番号順に巡る「順打ち」が一般的だが、自分の都合で区間を区切り、日にちを分けて巡る「区切り打ち」や、「讃岐(香川県内)だけ」や「伊予(愛媛県内)だけ」など1つの「県」を「国」として巡る「一国参り」もある。

 ちなみに「打ち」とは、参拝の証として寺院の柱や壁に木製や銅製の納札(おさめふだ、現在は紙)を打ち付けていたことに由来している。もちろん歩くのが基本だが、1,400キロもあるのでクルマ移動でもいい。

 また、うるう年の今年は八十八番から逆に巡る「逆打ち」が「順打ち3回分のご利益」があるそうで、注目されている。ただし、「ガイドブックや道中の案内板などは順打ちが基本なので、初心者には難しい」(お遍路マニア)との話もあるので、初心者は「旅行会社に相談」が賢い選択だ。

■御利益重視でも許される!

 バスツアーの増加などで身近になったとはいえ、時間も費用もかなりかかるため、決してハードルは低くない。それでも若い女性たちが四国を目指すのは、なぜだろうか。

 有給休暇を利用して「区切り打ち」を続けているという都内のOLの涼子さん(仮名、30歳)は「婚活とか会社の人間関係に疲れて、ふと思い立って行った」そうだが、それ以来ハマっているという。

 「『今回はこれだけ行けた!』という達成感がたまりません。『御利益を求めていい』と言われたのですが、結婚はまだ決まりませんので、まあ御利益というところでは微妙ですね」と苦笑する。

「最初は袈裟(けさ)とか笠とか持ち物(念珠、金剛杖、経本、納札、納経帳など)の決まりに驚きましたが、そういうのはバスツアーでも用意してくれるし、堅苦しく考えなくても大丈夫ですよ」(涼子さん)

 しかし、仏様なのだから気遣いはいる。まずは服装。洋服の上に白衣と白いスニーカーでもいいのだが、袈裟と念珠、そして金剛杖は必須アイテムである。そして、お参りの際には各札所でお経をあげて納札を納め、「納経帳」(のうきょうちょう)に印をもらうので、経本と納札、納経帳も欠かせない。

「このほか参拝の時にお供えするお線香とローソクも用意します。お線香は本堂と大師堂に3本ずつで6本、88カ所で528本、ローソクはそれぞれ1本ずつで2本、88カ所で176本となります。いっぺんには行けないと思いますが、そのくらいは必要ということですね」(同)

■お遍路に行く政治家やタレントも多い

 やはり準備はそれなりに大変なのだが、銀座でバーを経営しているミドリさん(仮名、35歳)も、お客さんに勧められて“お遍路デビュー”して、今は、「もはやマニアの域」を自称する。

「お店の経営とか結婚とか、人並みに悩みは多いのですが、札所を巡っていると、そういう悩みはどうでもよくなりますね。歩いているので、少しずつしか行けませんが、大雨の時など自然のすごさを感じますよ」(ミドリさん)

 むしろ悪天候のほうが「霊的な感じがしていい」らしい。

「水商売は景気などに左右されやすいので、お遍路さん好きも多かったようですが、政治家さんからタレントさんまでいろいろな方をお見かけしますね。元プロ野球選手の清原和博さんも、以前に見えていたそうです」(同)

 霊場で有名人探し、もアリなのかもしれない。

 なお、現在は「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録をめざす運動も展開中で、四国四県の地元は署名活動などで盛り上がっている。15年3月には「お遍路・世界遺産プロジェクト製作委員会」主催のキックオフイベントとして、空海生誕の地である第七十五番札所の「総本山善通寺」(香川・善通寺市)でAKB48のライブも行われて話題になった。

 善通寺に電話すると、「お遍路さんは無宗教でも別の宗派でも、どなたでも参加できます。ぜひいらしてください」とあたたかい応対だった。こうした「懐の深さ」も人気の秘密なのだろう。次のお休みに計画してみては?
(蒼山しのぶ)

最終更新:2016/06/25 15:00
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