A.B.C‐Z・河合郁人の充実感があふれ出た、『CANDY』with Snow Manの完璧な構成
「パッキャキャキャキャキャ♪」
笑い声というより、ほとんど馬のいななきのような高い奇声が魅力(?)のA.B.C‐Z・河合郁人。
この笑いが出るのは彼がノッているときだが、このところの頻発ぶりは尋常じゃない。それが顕著だったのは、6月8日放送分の『ザ少年倶楽部』(BSプレミアム)。この回はもはや“河合祭り”と言っていい内容だった。
まず目玉コーナーは、Sexy Zone・中島健人のソロ曲「CANDY~Can U be my BABY~」を以前から羨ましいと思っていたという河合によるカバーだ。
棒つきキャンディを持ったドヤ顔の河合のアップで始まり、背後から、同じく棒つきキャンディを持つSnow Manが飛び出す。本家の方は「CANDY♪」と中島健人が歌うと、フレッシュJr.たちが可愛い声で「LOVE KENTY!」とレスポンスするが、河合版では「CANDY♪」に続くレスポンスは、Snow Manの低~い「LOVE ふみキュン!」だ。
しかも、スタートからトップギアで爆笑を取ったかと思えば、腹筋バキバキの裸にジャケットを羽織ったSnow Manがキュートな笑顔全開で踊るというギャップを披露。さらに、一人ひとりに見せ場を作り、気象予報士の資格を持つ阿部亮平に「明日のあなたの天気は晴れです」と言わせる→仲良しの佐久間大介に「よっ! 気象予報士!」とからませたり、高度なアクロバットを一人ひとりが見せた後に、河合がでんぐり返しをするというオチまでつけたりと、笑いも可愛さもカッコよさも総動員した完璧な構成となっていた。
河合は自ら「ジャニオタ」を公言しているだけあって、ジャニオタが喜ぶことをよく理解しているからこそ成し得る素晴らしい演出だった。そのほかにも、この日は河合考案の「マツジュンマツジュン、ふーまふーま、まさひろまさひろ、ぐるっと回って亀ちゃんハイポーズ」という、リズムに乗せたジャニーズモノマネゲーム(?)がJr.たちの間で行われたが、ゲームに興じるJr.たちより誰より楽しんでいるように見えたのは、指導している河合だった。
それにしても、このところの河合の全身からみなぎる充実感はハンパない。かつては後輩イジリが少々キツく見えたり、推されている・あるいは人気のある後輩に対する嫉妬心や、おもねりのようなものが見えたりすることもあった。どこか焦りや苛立ちが見えることもあった。
ところが、最近の河合は違う。
ひとつには「後輩の指導・育成」という、社長や事務所から任された重要な仕事に対する充実感があるのだろう。また、個人的な「夢」も着々と実現している。『ジャニーズカウントダウン2015-2016』では、大好きな嵐・松本潤と一緒に、嵐の「WISH」を披露。5月20日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でも、松潤の目の前で「Jr.時代の松潤のターンと今の松潤のターン」を披露し、本人に「似てはいるんだと思うんですけど、でも俺はそこまでやってないから、ディスられてるんだなぁと思います」と言われつつ、番組エンディングにはしっかり松潤の隣に並び、「モノマネやりに来れてよかったです!」と満足げだった。
ジャニーズにはキラキラ王道タイプや、不良タイプ、キュートな弟タイプ、職人タイプなどさまざまなタイプやポジション、輝き方があるが、本人が目指すモノと事務所やファンの認識が一致しないケースも結構ある。
だが、そんな中、自分のポジションや持ち味を考え、見極め、受け入れることができると、余裕が生まれ、輝きを増してくる。
かといって、何も河合の輝き方が「モノマネ」というわけではない。河合が手に入れた輝きは、ジャニオタとしての自身の知識・経験・センスをフル活用し、周りの人たちも生かす「サービス精神」だろう。「パッキャキャキャキャ♪」と、調子に乗っていななけばいななくほど周りは可愛く、カッコよく見え、河合自身も輝くのではないだろうか。
(田幸和歌子)