夫の不倫相手は現れぬまま慰謝料180万円で勝訴 しかし、まだ終わりではなかった
こんにちは、まほです。結婚4年目にして、夫の不倫が発覚。その日を境に、今まで送ってきた生活は、がらりと大きくありようを変えました。その顛末記です。
■第二回、第三回の口頭弁論日も被告は訪れず
夫の不倫相手のさなえ(仮名)を相手取り、慰謝料請求裁判を起こしたものの、第一回の口頭弁論は、本人も代理人も欠席のまま終了しました。先方のご両親から裁判所に「体調不良で欠席する」という連絡が届いていたので、欠席判決を出されるのは困る、という考えはあるようですが、実際に本人か代理人が法廷に来ないことにはどうしようもありません。ひと月後に行われた第二回の口頭弁論も傍聴に行ったのですが、やはり被告側は誰も来ず、また、次回期日のスケジュール調整のみで終わり、そしてそのひと月後に行われた、第三回の口頭弁論日も、被告側は誰も訪れませんでした。
しかし、その三回目の口頭弁論で、法廷には少し動きがありました。裁判官がこちらの弁護士に向かい、「あちらのご両親から、昨日、電話がかかってきて、『明日は裁判所に行くように言ったけれども、やはり体調が悪く、欠席になるかもしれない』とおっしゃっていたので『明日、欠席したら、その次は判決になります』と伝えておきました」というようなことを発言したのです。
■慰謝料の金額は180万円
その場では、どういうことか理解ができず、家に戻ってから弁護士事務所に電話をかけて確認したところ、以下のような説明がありました。
・ひと月後の次回期日に判決が言い渡されること。
・相手方が反論しなかったために、おそらくは慰謝料が認められること。
・慰謝料の金額は判決をもって知らされること。
・通常の慣例で弁護士は判決を聞きに法廷には行かず、判決文は裁判所から取り寄せることになること。
・それまでに強制執行の準備をしていくこと。
こうして箇条書きにすると簡素ですが、判決まで、またひと月待つ上に、弁護士は判決を聞きに行かず、裁判所から取り寄せるので数日かかるということです。やっぱり弁護士業ってサービス業ではないんだな、と再認識した次第です。
どちらにしても「訴えが却下されることは、まずないだろう」とわたしも判断し、当日は法廷に足を運ぶことなく、判決の内容は、その2日後に届いた弁護士事務所からのメールで知りました。慰謝料の金額は180万円。「離婚しないケース」としてはかなり高額です。
また、その理由として、「被告は原告の主張を争うことを明らかにしないので、事実を自白したこととみなす」こと。「原告が有する妻として権利を侵害し、夫婦関係の平穏を破壊する強度の違法性を帯び、不法行為(民法709条、710条)に該当するものであり、被告は原告に対し慰謝料の支払い義務を負う」と書かれていました。「強度の違法性」(!)自分で裁判を起こしておきながら、驚くのはおかしいかもしれないですが、不倫ごときでこんな言葉が使われるとは衝撃でした。
■事態は意外な展開を見せた
というわけで、裁判することを決意してから、おおよそ、9カ月かけて、無事に勝訴したものの、強制執行しなければ、これはただの紙切れです。そして貯金から強制執行するには、相手方の口座のある銀行名と支店名が、職場の給料を差し押さえるには、職場の確定が必要となります。
しかし、夫に「一緒にいる時に、銀行に行ったり、お金をおろしたことってなかった? あったとしたら、何銀行だった?」と問い詰めてみたものの「記憶にない」というなんとも心許ない返事ばかり。
ならば、「銀行口座を作るとしたら、東京で初めてひとり暮らしをした街か、もしくは職場の近くの銀行であることが多いのでは」と、さなえの経歴を尋ねても「確か、学生時代は目黒のほうに住んでいて、学校は大田区のほうだったかな……正直、そういうこと、あんまり話さなかったから」と、なんともあやふやな答えをされるので、「ひょっとして、向こうをかばっているんじゃないか」という疑心もわいてきて、この頃は、かなり気持ちが離婚に傾いている時期でした。
そんなふうに、勝訴したものの、心の晴れない日々を送っていた数日後、事態は意外な展開を見せました。通常、判決に不満がある場合、原告被告ともに、判決から2週間以内であれば、控訴(第一審の判決に対して不服がある場合に、上級の裁判所に対してその判決の確定を遮断して新たな判決を求める不服申立てすること)ができるのですが、なんと、さなえ側が、控訴を裁判所に申し立ててきたのです。そうなると、舞台を高等裁判所へと移して、再び裁判をやり直すことになります。一体何を考えているの……。
(まほ)