怒涛の活躍でもブレないHey!Say!JUMP・伊野尾慧の「堅実さ」と、少しの「違和感」

　だが、感心したのは、そんな状況にありながらも、当の伊野尾はまるで浮足立った様子がないこと。事務所が多用している「テキトーキャラ」「ジャニーズイチ運動神経が悪い」「猫好き」「女の子みたい」といった「売り文句」「設定」も、本人は適度に利用しつつ、適度に受け流している。

　持ち慣れない大金（注目度や仕事量）を急に手にしたことで、勘違いしてしまうパターンは、アイドルに限らず、芸人・タレントにもよくあるが、大金を持っても同じモノを食べ、同じモノを着て同じように暮らす堅実さ、ブレなさを持っているように見えるのだ（とはいえ、以前はファッションにまったく関心がなく、おそろしくダサいTシャツを愛用し、ヘビロテしていたが）。

　また、1カ月ばかりの間に、ヘロヘロの高い声もやや安定し、フリーズしてしまう場面も格段に減り、場慣れしてきている。勉強ではない、いわゆる「学習能力」も、予想以上に高いようだ。

　おまけに、注目度の高まりとともにネット上では「合コン疑惑写真」「ハゲ疑惑」なども出回るようになったが、従来のファンの「もともとギャル好き」「おでこが広いだけ（ハゲが見つかりませんように！）」という対応も含め、本人がブレないでいる限り、さほど痛手になっていない。

　ジャニーズ事務所のプッシュが人気に結びついた、近年では稀有な例にも見える。今はまだ「はやりモノ」の域を出ていない気もするが、これから地に足ついた定番人気になっていくかどうか、楽しみに見守りたい。
（田幸和歌子）