夫の不倫相手は裁判所に来なかった 慰謝料請求裁判の第一回口頭弁論
■ドラマの裁判シーンとは違う
法廷を見ると、裁判官を挟んで向かって左側に、原告であるわたしの弁護士がいるのが目に入りました。しかし、右側の席は空いています。「いつ来るんだろう。まさか来ないのかな。訴状は受け取ったのに……」と思い悩んでいると、時間になり開廷となりました。
開廷するとすぐに、裁判官が弁護士に向かい「昨晩、被告のご両親から、本人は体調不良でおそらく来られないと、連絡がありましたので、一度目の弁論で判決は出さないとのことを伝えてあります」と小声で説明をしました。ものすごい小声で聞き取りにくく、「ドラマの裁判シーンとは違う」という印象を受けると同時に、「さなえもご両親も、弁護士なしで裁判を進める気なんだ!」とまたしても驚きを覚えました。
もちろん、代理人を立てずとも、裁判を進めることは可能ですが、法廷でツラい目、嫌な目に合う覚悟が必要となるのは少し考えればわかることです。
もっとも、示談の提案の内容証明をさなえが受け取らなかった時点で、こちらの請求額は、「配偶者と離婚しない相場」のマックス額に、裁判費用を全て乗せたもので、額にしておおよそ400万円となっています。弁護士を代理に立てると相当な出費になるのも事実です。
具体的には、慰謝料請求で被告が弁護士を雇う場合は、着手金および解決金、そして、原告の請求額から、減額した金額の10~20%程度、という支払いが必要となります。試しに、わたしが慰謝料請求を頼んだ弁護士事務所のプランで照らし合わせてみると着手金20万円、解決金20万円、これに原告の請求額から、減額した金額の10%程度が加わるので、200万円に減額できたとして、プラス20万円。さらに、郵便代や印紙代に加え、弁護士が一度、出廷するごとに3万円+交通費がかかるので、3回で解決したとして約10~15万円。解決するのに、トータルで270万円くらいは出費することになります。恐ろしい……。
原告の立場から言うことではないですが、現在不倫をされている方は、万が一、不倫相手の妻から内容証明が届いたら、絶対に無視せずに、なるべく示談で済ませることに努めたほうがいいです。場合によっては数十万円で済みますから!
さて、法廷の話に戻ります。裁判官が「原告は訴状の通り陳述しますね」といった趣旨の問いかけを弁護士に投げ、弁護士は「はい」と答えたところで、実際に訴状を読み上げることもなく「では次の日時を」と、裁判所側と弁護士のスケジュールをすり合わせるだけ。その間、おおよそ3分程度。さなえの顔を見ずに済んだことにほっとしながらも、ちょっと見てやりたかったなと残念な気持ちを抱えたまま、第一回の口頭弁論はあっという間に終了となりました。
(まほ)