脳梗塞になる可能性が2倍に! 頭痛専門医が教える、片頭痛との正しい付き合い方
女優の安達祐実が、10代の頃から吐いてしまうほど重度の片頭痛持ちであることをテレビで公表したが、片頭痛に悩んでいる女性は非常に多い。特に春先は気温や気圧の変化が大きく、片頭痛を誘発しやすい季節だということで、片頭痛の原因や対策を頭痛専門外来である山王クリニックの山王直子院長に話を聞いた。
■「月経関連頭痛」はほぼ間違いなく片頭痛
――女性に一番多い片頭痛の原因は何でしょうか?
山王直子院長(以下、山王) 片頭痛は血管が拡張して炎症を起こす病気です。その誘発因子はいろいろありますが、一般的に女性の場合は、ホルモンの変化によって頭痛が起こります。母親が頭痛持ちだと50%は遺伝すると言われています。
女性は生理周期に合わせて頭痛が出るパターンが多く、生理痛だと思って我慢している人も多いです。でも、生理に関係して起こる頭痛は「月経関連片頭痛」と言って、これはほぼ間違いなく片頭痛です。
――片頭痛の原因として、何か別の病気が隠れているということもありますか?
山王 怖い病気が隠れている可能性もあります。頭痛を治したくて頭痛外来に来た方が、脳腫瘍を患っていたこともありました。片頭痛の人が、これらの病気に必ずしもなりやすいというわけではないのですが、頭痛で寝込むことがあったとか、普段通り生活ができなかったことがある人、会社や学校を休んだりしたことがある人は、絶対に1回は検査したほうが良いと強く言っておきたいですね。
当院でも毎日10~20人ぐらい検査すると、必ず1人は病気が見つかります。体が頭痛信号というかたちで警告を出してくれているわけだから、我慢するのではなく素直に耳を傾ける方が良いでしょう。
■市販薬を飲んでいいのは1カ月に10日まで
――片頭痛を放っておくとどうなってしまうのでしょうか。
山王 まず、日常生活に支障があるというのは大きな問題ですよね。働く女性も多くいる中、頭痛のために会社を休んでしまったり、作業の能率が落ちてしまうことで社会的にも損失があると言われています。
また、血管が拡張して炎症を起こしているので、血管が傷みやすいわけです。そのため、片頭痛を放っておいた人は普通の方の2倍くらい脳梗塞になりやすいと言われています。片頭痛用のきちんとしたお薬で治したほうが良いでしょう。
――市販の頭痛薬を飲みすぎて、頭痛がひどくなることがあると聞いたことがあります。
山王 「薬物使用過多による頭痛」と呼ぶのですが、鎮痛剤を飲み過ぎると脳が痛みに敏感になってしまうんですね。市販の頭痛薬を飲んでいいのは1カ月に10日までが目安です。それ以上の量を3カ月以上にわたって飲んでいる場合は、確実に薬物使用過多による頭痛です。
片頭痛の痛さにも周期があって、普通の状態だと水面下の痛みは感じないで済んでいる。ところが鎮痛剤を飲み過ぎると、閾値が下がっていって毎日痛いと感じるようになったり、以前より強く痛みを感じるようになってしまい、痛いからまた薬を飲むという悪循環に陥ってしまうんですね。それを元の状態に戻すには、専門の病院にかかる必要があります。